前回タイガース戦のリプレーのような内容
5年連続2ケタ勝利、そして全30球団からの勝利に挑んだヤンキースの黒田博樹。強力タイガース打線を相手に7回4安打2失点と好投を見せたが打線の援護なく快挙達成はならなかった。前日に怒涛の9連打を放つなど好調だったヤンキース打線がメジャー初先発のロブスタイン、そしてタイガースリリーフ陣に抑え込まれたことももちろんあるが、黒田が勝利を逃した要因は他にもあった。
タイガースとは今月5日にも対戦し、7回3失点と好投するも勝利を逃していた黒田。きょうの試合はその時のリプレーを見ているような展開だった。前回の試合は初回に、今回は2回とイニングこそ違うが、ともに犠牲フライであっけなく先制点を与えてしまう。その後、打線がすぐに逆転してくれたところも全く同じ。勝ち投手を意識したのかその後同点タイムリーを許してしまうところまで同じ展開だった。ちなみに両試合とも黒田に勝ち負けはついていない。
下位打線への強気勝負が仇に……
この日投じた全91球の球種別割合はストレート(シンカー系含む)が39.6%、スプリットが34.1%、スライダーが24.2%、カーブ2.2%とストレートとスプリットの割合がほぼ同じ。しかし失点した2イニングに限ると、ストレートの割合が51.4%とやや多く、スプリットは34.3%だった。一方スライダーが11.4%と少なく、やや配球に偏りがあったといえる。この2イニングにもう少し横の変化をつけた配球ができていれば、違った結果が出ていたかもしれない。
またこの試合の黒田の打者別成績を見ると、キンズラー・カブレラ・V.マルチネス、J.D.マルチネスといった主軸(2~5番打者)は12打数ノーヒットと完璧に抑え込んだ一方、それ以外の打者に12打数4安打、1四球、1犠飛と打たれ2失点につながった。一発の危険性が少ない下位の打者にはストレートを中心に強気の配球になったことが裏目に出たということか。タイガースが誇る強打者たちは完璧に封じ込んでいただけに惜しい結果となってしまった。
黒田の全30球団制覇は来季以降に持ち越しになり、チームもサヨナラで敗れてしまった。しかし最近10試合で7回目のクオリティースタート(6回以上を自責点3以内)をマークして先発としての役割は担った。快挙達成こそ逃したが2年ぶりのプレーオフを目指すヤンキースの不動のエースとして、黒田はマウンドに登り続ける。