中地区首位を走るインディアンス
日本では取り上げられることが少ないが、クリーブランド・インディアンスが現在ア・リーグ中地区の首位に立っている。現地時間5日の試合を終えた時点で61勝46敗と貯金は15を数え、2位タイガースに2ゲーム差をつけている。
そのタイガースは最近10試合を9勝1敗とインディアンスを猛追しており、シーズン終盤まで激しい争いが繰り広げられそうな雰囲気が漂う。インディアンスの監督を務めるのは日本でもおなじみテリー・フランコ―ナ氏。レッドソックス時代にワールドシリーズを2度制覇し、13年からインディアンスで指揮を執っている。フランコ―ナ体制1年目の13年にポストシーズンに出場したものの、14年と15年は勝率5割がやっとという状態だった。
しかし今季は、4月に10勝11敗と開幕ダッシュにこそ失敗するが、5月は16勝13敗、6月にはなんと22勝6敗の高勝率をマーク。7月以降は13勝16敗とやや失速気味だが3年ぶりのポストシーズンへ向けて視界は良好だ。
元巨人の村田が3Aで先発と救援で存在感
首位を走る原動力の一つが層の厚い先発投手陣。絶対的なエースはいないが、すでに3人が2桁勝利をマークしており、先発陣の防御率はメジャー全体で7位。クオリティースタート数は同6位と安定している。ただ最近5試合はいずれも先発投手が5回を持たずに降板しており、ポストシーズンへ向けて不安要素となりつつある。
逆に弱点の一つだった救援陣にはヤンキースから左腕アンドルー・ミラーの獲得に成功。先発陣の再整備がなされれば、激戦ア・リーグを勝ち抜く可能性も十分あるだろう。その先発陣に救世主は現れるのか。トレードによる先発投手の補強がなかったため下部組織に目を向けてみると、3Aでプレーするあの日本人投手の名前が。元巨人の村田透だ。
村田は昨季、3Aで15勝4敗、防御率2.90の好成績を残すもメジャーでの登板は僅かに1試合に終わった。今季はここまで27試合に登板(先発4試合、救援23試合)、5勝2敗4セーブ、防御率3.67という数字を残している。1年前に比べると成績面で劣るが、先発も救援もこなせる点は強みだ。
9月にはベンチ入りできるロースター枠が25人から40人に拡大される。それまでにメジャー昇格の声がかかる可能性も十分あるだろう。そして、そこでしっかり結果を残せば、ポストシーズンへの道もおのずと開けるだろう。
日本では一軍未登板のまま僅か3年で解雇の憂き目にあった元巨人ドラ1の苦労人は、渡米6年目にシンデレラストーリーを描けるのだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)