ニュース 2022.05.12. 17:28

【宇都宮市立陽西中】丸岡秀樹先生|生徒の主体性を奪っているのは大人

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昨夏、千葉県で開催された全中に関東代表として初出場を果たし、ベスト16入りした宇都宮市立陽西中。監督を務める丸岡秀樹先生にとって、5度目の全国大会出場だった。特筆すべきは、赴任したすべての公立中を全国に導いていることだ。初任の宇都宮市立古里中から、宇都宮市立田原中、宇都宮市立雀宮中、そして今回の陽西中。全国的に見ても、「快挙」と言っていい。その理由を探りに、陽西中のグラウンドを訪れた——。
「育成年代の『技術と心』を育む中学野球部の教科書」(大利実/カンゼン)の中から、一部をご紹介します。




人が関わりすぎることで、生徒の主体性を奪っている」と感じている。
「わかりやすい例が、中学1年生が入学してきたときです。学校のルールを教える意味もあってか、教員が何もかもやってしまう。給食のときも、『いただきますの号令をお願いします』とやるわけです。そんなことはわざわざ言わなくても、中学生だけでできる。だって、考えてみてください。1年前は小学6年生として、最高学年でさまざまな役割を担ってきたはずです。たとえば、登校班の中でもリーダーとしての役目があったわけですよね」

この話を聞いて、「たしかに!」と納得した。中学校では一番下の学年になることで、1年生らしくしなければいけない」と生徒自身が思うところもあるだろうが、だからといって、小学校で育んできた主体性の芽まで刈り取る必要はない。

「入学直後の1年生は教科書やプリントなど、配布物がたくさんあります。このときに先生が配るのではなく、『枚数が多いから手伝ってくれるかな』と言えば、前に出てきてどんどんやってくれますよ。そうやって、頼りにしていけばいいんです」

担任を持っていたときには、クラスの中で一人一役の係を作る以外に、『特殊部隊』と称してさまざまな役割を作っていたという。「(朝の会の)総合司会者」「今日のお天気」「今日は何の日」「給食配膳促進係」「給食支配人」など多岐に及ぶ。
「日々の生活の中で、仲間に言葉を投げかける経験を積み重ねていきます。教員は人前で話すのが好きな人が多いですけど、教員が言っても生徒が言ってもどちらでもいいようなことは、生徒に伝達してもらう。そういう経験をしていくと、人前で話すことには勇気と労力が必要であることを実感できます。だからこそ、その心意気にしっかりと応答する誠実さや優しさもわかってくる。それが、『サービス精神の応酬』に結びついてくるのです」「返事をしっかりしろ!」と言うことも大事だが、人前に立つ経験を積むことで、話し手と聴き手の両方の立場を体感できる。自分の話に頷いてくれたり、大きな返事で応えてくれたりしたら、安心感が生まれるのは当然のこと。聴き手側に回ったときに、「今度は自分が」と思うものだろう。

ちなみに私は、丸岡先生の前任校・雀宮中と現在の陽西中で、選手を前に少し話をしたことがある。私の目を見て、さらにタイミングのいいところで頷きが入り、とても話しやすかった。日頃から何を大事にして過ごしているのか、話を聴く姿勢からも伝わってきた。
(続きは書籍で......)






まるおか・ひでき。1968年2月22日生まれ、栃木県宇都宮市出身。宇都宮商~仙台大。高校2年秋までキャッチャーで活躍し、以降は内野手としてプレーした。大学卒業後、栃木県の教員となり、古里中(1998年全中)、田原中(2002年、06年夏全日本)、雀宮中(2014年全中)、陽西中(2021年全中)で全国大会に出場。昨年は県選抜・ALL栃木の監督も務め、全日本春季で県勢初の準優勝を果たした。担当教科は保健体育。
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