充実のキャンプ
「ユニフォームを着て練習できたというのが嬉しかったですし、色々先輩から学ぶことがたくさんありました。いいキャンプになったと思います」。
ロッテのドラフト6位ルーキーで、市立習志野高校出身の古谷拓郎投手は、はじめてのキャンプをこのように振り返った。
「プロの練習はひとつひとつに意味がある。意図をもってというか、ここを鍛えるという意識をもってやるというのをプロに入って感じました」と、練習の質の違いを肌で実感した。
キャンプで初めてのブルペン
新人合同自主トレ期間中、高校生組の投手はブルペンで投げ込みを行わなかったが、石垣島で行われた春季キャンプで、プロ入り後はじめて投球練習を行った。「久しぶりに傾斜を使って投げるということもあり、探りながらでしたが、(ブルペンに)入っていくごとに感覚がよくなったので、そこは良かったと思います」と手応えを口にした。
その中でも、「すごく自信があるという感じではないですけど、制球力を意識してブルペンに入るようにしています」と語るストレートの制球が非常に良かった。キレのあるストレートが捕手の構えたミットに吸い込まれていくのが、非常に印象的だった。
先輩たちと練習していくなかで言われたのが、「真っすぐが活きてこないと、変化球も活きてこない」ということ。「変化球ばかりに頼るのではなく、いつでも真っすぐでファウルが取れたり、カウントが取れたりするのが基本だと思います。変化球ばかりに頼るというスタイルにならないようにしていきたいと、プロに入って改めて思いました」と“ストレート”の重要性を認識し、決意を新たにした。
今後は身体作りがメイン
春季キャンプが終わり、ロッテ浦和球場に戻ってきて約2週間。今後は、成田翔、原嵩、種市篤暉、島孝明、育成・森遼大朗の1年目と同じように、身体作りがメインになっていく。
小野二軍投手コーチも「投げる体力もそうだし、身体を作っていくというのもしっかりやっていかないといけない。まずはプロの身体になってもらわないと。プロの身体作りがメインになってくる」とプロの世界で生きていくための基盤づくりの重要性を口にする。
古谷自身も「プロで活躍するには、強い身体と大きい身体が必要になってくる。ただ太るのではなく、筋肉量も増やしてしっかり体重を増やしていきたいと思います」と先を見据えた。
今季一軍定着を目指す高卒4年目の成田は、地道な体作りの成果で、3年間で約10キロ体重がアップし、力強いストレートを手に入れた。高卒3年目の種市は体作りの途中段階ではあるが、ストレートの球速がアップし150キロを超える真っすぐが投げられるようになったという例がある。
ドラフトの順位は6位ではあるが、プロの身体を作った後、どのような成長を見せているか非常に楽しみな投手だ。一軍で活躍するためにも、1年目の土台作りが重要になってくる。
取材・文=岩下雄太