岩隈久志、沢村拓一がファーム調整へ
3月に入り、いよいよ開幕までの時間は1カ月を切った。ここからは開幕一軍メンバーの最終調整を行っていく時期となる。結果が出ていない選手たちをどのように復調させていくのかなど、不安要素を開幕までになくしていきたいところだ。
2年連続セ・リーグMVPの丸佳浩や、実績豊富な捕手の炭谷銀仁朗(前・西武)、昨季メジャーで20本塁打を放っているビヤヌエバ(前・パドレス)といった大型補強を行い、まさに“巨大戦力”となった巨人も例外ではない。
原辰徳監督は、沖縄キャンプ最終日に新戦力である岩隈久志のファーム行きを決断。よって、開幕ローテーションから外れることは確実となった。
一昨年の9月に右肩の手術を行っている岩隈は、昨季もメジャーでの登板は「0」。マイナーでも2試合に投げたのみであり、完全な復帰には慎重な姿勢を取ったかたちだ。
また、沢村拓一には先発転向を命じ二軍で調整を指示している。
2016年に最多セーブのタイトルを獲得した沢村だが、その後はなかなか結果を残すことができず。昨季は49試合の登板で防御率4.64という成績だった。2月24日に行われた日本ハムとのオープン戦でも、勝利投手にはなったものの1回1失点、被安打1、与四球2と内容はいまいち。先発に回ることになった。
巨人投手陣の不安要素は、岩隈の出遅れや沢村の先発転向だけではない。セットアッパー候補のマシソンはウイルス性の疾患もあり、春季キャンプ中の合流ができず開幕一軍は絶望的な状況だ。
さらに、一時は守護神候補として名前が挙がっていた鍬原拓也もピリッとしない。2月23日のオープン戦・楽天戦では0回2/3を投げて1失点。さらに2月26日の練習試合・中日戦では1回5失点と苦しんでいる。
大江竜聖、吉川光夫の両左腕が勝ちパターンへ名乗り
一方で、明るい話題もある。今季は中継ぎでの起用が既定路線となっている高卒3年目の大江竜聖が、キャンプ中の実戦で4試合連続無失点と結果を出した。
また、同じ左腕の吉川光夫もリリーフで好投を続けアピール中。宮本和知投手コーチは「これから勝ちパターンを確立する」とコメントしており、オープン戦における両左腕の起用法に注目が集まっている。
先発投手陣では、育成契約の坂本工宜の評価がうなぎのぼり。2月23日に行われた楽天とのオープン戦でも1回1/3をピシャリと抑え、開幕前に支配下登録を勝ち取った。
このように、巨人の投手陣には不安要素もあるが、楽しみな明るい話題もある。昨季の巨人は岡本和真が台頭し、打線には芯ができた。そこに今季は丸やビヤヌエバが加入。もちろん、坂本勇人も健在だ。2番で起用される予定の丸から、坂本、岡本、ゲレーロ、ビヤヌエバらが並ぶ打線は、相手チームにとって大きな脅威となることは間違いない。
そうなれば、やはり投手陣の整備こそが重要なポイントになる。エースの菅野智之頼みとなっていた投手陣も、山口俊にメルセデス、ヤングマンといった助っ人勢などのローテーションの骨格はある。だが、彼らに続く先発投手陣、勝ちパターンをはじめとした中継ぎ陣を盤石なものにしなければ、5年振りのリーグ優勝はないだろう。
これまでに数々の実績を残してきた百戦錬磨の原監督は、持てる戦力をどのように駆使して戦っていくのか。その手腕に注目が集まる。