オープン戦で2試合連続の好投
沖縄ではじまったオープン戦も、3月に入り各地で行われるようになった。ここからシーズン開幕までの1カ月ほどで、各球団の首脳陣は戦う陣容を整えていくことになる。キャンプで好調だった若手やこれから実戦に入る主力、そして復活を目指す実績ある者……。さまざまな立場の選手たちを見極めていく。
そんななか、DeNAの今永昇太が好調だ。3月3日の日本ハム戦で先発のマウンドに登ると、4回を投げて被安打4、奪三振7の無失点投球。オープン戦初登板となった2月24日の広島戦でも、4回を投げて被安打3、奪三振5の1失点という結果を残しており、2試合続けての好投となった。
オフにオーストラリアでのウインターリーグに参戦した成果もあるのか、苦しんでいた昨季が嘘のような投球内容である。春季キャンプでも、アレックス・ラミレス監督から神里和毅とともにMVPに選ばれるなど腕が振れていた。
チームの先発投手陣を見渡すと、昨季は2ケタ勝利を挙げた東克樹(11勝)が左肘を痛め、春季キャンプでは二軍スタートに。すでにキャッチボールは行っているが、実戦での登板はまだなく、開幕は絶望的だ。そんな状況のなか、一昨年に11勝を挙げた今永に復活の気配が漂っているのは、チームにとってこのうえなく大きい。
2017年の輝きを取り戻せ!
打線はリーグ屈指の破壊力を誇り、特に日本の4番である筒香嘉智をはじめ、一昨年の首位打者である宮崎敏郎、そして本塁打王に輝いたネフタリ・ソト、安定感のあるホセ・ロペスという主軸の4人は非常に強力だ。
中継ぎ陣を見ても、抑えの山崎康晃とセットアッパーのスペンサー・パットンは盤石。ほかにも三嶋一輝や砂田毅樹、エドウィン・エスコバーら7回を投げることができる投手も揃っている。あとは先発投手に“エース”の存在があれば、上位争いはもちろんリーグ優勝だって不可能ではない。いまのDeNAに必要なのは「あいつが投げるから大丈夫だ!」と思われるような、そんな信頼感のあるエースである。
その存在にもっとも近いのが今永であることは間違いない。11勝をマークした一昨年は、日本シリーズでも2試合で13回を投げて21奪三振と相手打者を圧倒した。その後のアジアプロ野球チャンピオンシップでは日本代表にも選出され、台湾戦では6回12奪三振とここでも圧巻の投球を披露。まさしく、DeNAにとってはエース誕生前夜のような雰囲気さえ漂っていた。
しかし、打って変わって昨季は開幕から苦しみ、防御率は6.80とキャリアワーストに低迷。投球イニングも84.2回にとどまった。シーズン途中には中継ぎへの配置転換もあったほどだ。
大きな悔しさを味わった今永だが、先に述べたとおりここまでは順調にきている。このままシーズンに入っても好投を続け、エースという称号を手中に収めるようであれば、自ずとチームそのものの順位も上がってくるだろう。
チームを勝利に導くハマのエースへ。大事なプロ4年目に挑む今永昇太から目が離せない。