太田賢吾が坂口智隆不在の穴を埋める
ヤクルトが好調だ。阪神との開幕カードこそ負け越したものの、その後は4カード連続で勝ち越すなど、4月20日終了時点で単独首位をキープしている。
その要因のひとつとしてあげられるのが、やはり強力打線だろう。坂口智隆が開幕3試合目に死球で離脱してしまったが、青木宣親、山田哲人、バレンティン、雄平といったその他の主軸は健在。若きスラッガー候補の村上宗隆もすでに5本塁打と大器の片鱗を見せている。彼らが中心となる打線のチーム打率.252はリーグ3位ながら、108得点はリーグトップだ。
その打線のなかで忘れてはならない存在が、太田賢吾だ。昨オフに日本ハムからトレードでやってきた22歳は、坂口が離脱したことで空席となった1番に収まり打率.341、1本塁打、出塁率.396と結果を残している。4月16日から18日に行われた阪神との3連戦では、全試合マルチ安打を達成するなど、リードオフマンとして躍動した。
4月19日には実績のある川端慎吾が一軍に昇格したこともあり、太田にとっては、ここからがほんとうの意味での競争となりそうだが、坂口の穴をここまで埋めたことは特筆すべき補強だったと思われる。
五十嵐亮太、寺原隼人の自由契約組も戦力に
新戦力で結果を残しているのは太田だけではない。太田とともにトレードで加わった高梨裕稔は開幕3戦目で白星をマーク。その後は1試合の登板で抹消されているが、故障ではなく他の投手との兼ね合いによるもの。21日の中日戦で先発予定だ。
ソフトバンクから自由契約を経てチームに加わった寺原隼人と五十嵐亮太のベテランも欠かせない戦力となった。寺原は先発2試合目で初白星。現在は体調不良で登録を抹消されたが、大事には至っていないようだ。状態を見ながらではあるが、早期復帰となるはず。
古巣復帰となった五十嵐は8試合の登板でいまだに無失点。どんな局面でも試合を壊さずに投げきる存在としてブルペンを支える。すでに3勝をあげるなど、チームの逆転劇を呼び込むベテラン右腕のギアはまだまだ上がっていきそうだ。
また、新外国人選手で結果を残しているのが、スコット・マクガフ。ここまでは11試合に登板し、2勝0敗、3ホールド、防御率1.46と抜群の安定感がある。150キロを超えるストレートを武器とし、12.1回で15奪三振。奪三振率10.95と試合終盤に三振を取れることも強みとする。
もうひとりの新外国人選手であるスアレスは故障で離脱しており、一軍での登板はまだない。しかし、4月17日にファームで初登板。4回2失点と故障明けの初登板としては悪くない結果を残している。何度かの登板を経て、一軍デビューとなりそうだ。
昨シーズンのオフ、ヤクルトは丸佳浩(広島→巨人)や浅村栄斗(西武→楽天)といったFA選手たちにまったく興味を示さなかった。さらには超大物外国人の獲得もなく、比較的静かな補強戦略を行った印象がある。しかし、その補強で加わったメンバーたちが揃って躍動し、チームを上位に押し上げているあたりは、まさにお買い物上手。かつての“再生工場”をも彷彿とさせる。
開幕前の順位予想では巨人を優勝に推す声が多かったが、その巨人と対象的な補強戦略をとったヤクルトが先に抜け出す可能性もありそうだ。
※数字は2019年4月20日終了時点