昨季から20試合連続無失点中
「8回はゲームの終盤。みんながゲームを作ってくれて、回してくれるポジション。しっかり思いを持って益田に繋げることが僕の仕事です」。
ロッテの唐川侑己は、勝ち試合の8回という大事なポジションに、誇りを持ってマウンドにあがっている。
昨季途中に先発からリリーフに配置転換となった唐川は、13試合連続無失点でシーズンを終えた。「開幕戦で、良い入り方ができたのは大きかったなと思います」。3月29日の楽天との開幕戦、5-4の8回からマウンドにあがると、3番・浅村栄斗、4番・島内宏明、5番・ウィーラーのクリーンナップを三者凡退に打ち取った。今季初登板を無失点に抑えた唐川は、その後の登板でもスコアボードに0を重ねていき、ここまで7試合に登板して、6ホールド、防御率0.00の成績を残す。
昨季リリーフに配置転換になったときは主にビハインドゲームでの登板が多かったが、今季はチームの勝敗を大きく左右する大事な8回という難しいポジションを担当する。精神的、肉体的なプレッシャーがかなり大きいように見えるが、唐川は「客観的に見たらそういう風に思いますけど、僕個人としては負けている場面でも、勝っていてもやることは一緒」と気にした様子は見せない。
投げる場面が8回に固定されたことで、「どこでいくかわからないときよりも、8回と言ってもらえているので、そういった意味では準備がしやすいのかなと思います」と話す。
生命線のカットボール
セットアッパー・唐川の投球の生命線となっているのが、昨季まではスライダーと呼んでいた打者の手元で鋭く曲がる“カットボール”だ。
これまでの唐川といえば、伸びのあるきれいなストレートを武器にしていたが、リリーフに配置転換になった後は、“カットボール”が投球の軸となっている。
カットボールを中心に投げている理由について「そういう決意をしたわけではないですけどね」と前置きしたうえで、「1イニングだけなので、自分の自信のあるボールを投げている感じです」と説明。カットボールが打ち取りやすいことも関係しているのかと聞くと、唐川は「それは場面にもよりますし、バッターにもよるので、一概にはそうは言えないですね」と教えてくれた。
カットボール、カーブとともに、唐川の投球を支えているボールのひとつがスプリットだ。4月20日の日本ハム戦では、1ボール1ストライクから大田泰示の3球目にスプリットを投じ、ファウルでカウントを稼いだ。唐川は「去年まではそんなに使っていないことはないですけど、ああいう使い方をしていなかったボールではありますね」とスプリットをうまく織り交ぜる。
リリーフに配置転換後、自信のあるボールを中心に投げることで、活路を見出した唐川。「自分のできることを最大限にやるというだけです」。チームに勝利を運ぶため、マウンドに上がる。
取材・文=岩下雄太