高校3年間県予選では全て県営大宮で敗戦
「県営大宮でプレーするとなれば、高校3年以来。プロに入ってから大宮のタイミングでいないことが多かったので、楽しみではあります」。
このように話したのが、ロッテの加藤翔平だ。加藤は埼玉県出身で、高校は進学校の春日部東。
「1年生、2年生、3年生、全部県営大宮で負けている。もちろん甲子園は目指していましたけど、現実的にいけるかと言われるとそういうわけではなかった。県営大宮だけテレビ中継がありましたので、とりあえずそこまではいこうとは自分の中で毎年思っていました」。
加藤が在学中は1年夏が5回戦で花咲徳栄、2年夏が準々決勝で花咲徳栄、3年夏が3回戦で越谷西高校に敗れ、県営大宮で悔しい思いを味わってきた。
野球を続けるきっかけとなった場所
しかし、苦い思い出だけではない。野球を続けるきっかけをつかんだのも県営大宮だった。
入学時に「(プロは)一切考えていなかった。教師かスポーツライターの仕事に就きたいと思っていました」とプロどころか、大学でも野球をするつもりはなかったという。
野球を続けるきっかけになったのが、高校2年の夏の大会だ。
「高校2年夏の大会は、たまたまAシードのブロックに入っていたので、テレビ中継の多いブロックだった。その大会でそこそこの活躍ができました。その大会がなかったというか、(県営大宮で)結果を残していなかったら大学で野球を続けるつもりはなかった選手。そこがひとつの転機になったかなと思います」と高校2年夏の大会、県営大宮での活躍がその後のプロ野球選手・加藤翔平に繋がった。
上武大で野球を続けた加藤は、12年ドラフト4位でロッテから指名され、プロへの扉を開いた。プロ入り後は、2014年4月15日との西武戦、ロッテは県営大宮で試合が組まれていたが、4月13日に一軍登録を抹消され、県営大宮でのプレーがかなわなかった。プロ7年目ではじめて、“思い出の地”でプレーする機会を迎える。
開幕直後は打撃好調だったが、ここ最近は状態が下降気味で、4月24日の西武戦でセンター前に安打を放ったのを最後に15打席安打がない。「大宮に限らず、ずっと1年間やっていくことが大事。その中で、大宮でやることは楽しみかなと思います」。高校時代に転機となった場所で、新たなスタートをきることができるか、注目だ。
取材・文=岩下雄太