実戦4試合に登板
ロッテのドラフト6位ルーキー・古谷拓郎は、11日に行われたヤクルトとの二軍戦、リリーフで2回を1失点に抑え、二軍戦でのプロ初勝利を挙げた。
習志野高校からドラフト6位で入団した地元出身のルーキーは、4月17日のオールフロンティアとの練習試合で実戦デビューを果たすと、4月29日の日本製鉄鹿島との練習試合での登板を経て、5月5日の巨人との二軍戦で二軍公式戦のマウンドに上がった。二軍公式戦2度目の登板となった11日のヤクルトとの二軍戦で、勝利投手を手にした。ここまで二軍練習試合、公式戦をあわせて4試合に登板している。
ロッテの近年の高卒新人投手の1年目は、基本的に体力作りがメインで夏場に実戦デビューを飾り、10月のフェニックスリーグで実戦経験を積んでいくというケースが多い。今年の高卒新人投手も同じ流れで育成していくのか小野晋吾二軍投手コーチに質問すると「(実戦登板が)前倒しになる可能性もあるけど、まずはプロの体になってもらわないといけない。プロの体作りがメインになってくると思う」と2月26日の取材の段階では、種市、島らの新人時代と同じようにじっくりとプロの体を作っていく方針だった。
3月に入ってから古谷と同じ高卒新人の土居豪人は先輩の成田翔、原嵩、種市、島、森らの新人時代と同じように、投手陣の全体練習が終わった後もグラウンドでランニングやダッシュなどで体作りに励んだ。しかし4月16日に行われたセガサミーとの二軍練習試合の試合前練習では、他の投手陣と同じようなタイミングで練習を切り上げた。
小野コーチは「プロの体作りにも慣れてきたし、暖かくなってきた。11日にシート打撃を投げて、そのときの状態も良かった。ゲームに入ってどういう流れなのかを確認してもらいます」と話し、古谷と土居は翌17日のオールフロンティア戦で実戦デビューを飾った。
その後は二軍戦にも登板しプロの打者と対戦した古谷は「プロのバッターは甘く入ったりしても、自分のストレートが捉えられてしまう。しっかりコントロールだったり、球の力強さだったり、ファウルが取れるようなボールを練習していきたいと思います」と課題点を挙げた。
小野コーチは「プロのバッターの怖さを感じられたと思うので、どこにどういう球を投げればいいのかというのを覚えていけばいいという段階です」と現状の古谷について語った。
小野コーチも評価する探究心
古谷のブルペンでの投球練習、ランニングなどを見ていると、練習をやらされているのではなく、意図を持って練習しているように見える。
「与えられたメニューももちろんあるんですけど、それがどういう意味でやっているのかを理解してやらないと意味がないと思う。そこは意識してやっています」。
また、ブルペンでの投球練習後に、小野コーチに投球練習の出来やクイックのスピードを自ら聞くなど、学んでいこうという姿勢を強く感じる。
小野コーチは「そこの部分を持っている子。ピッチャーにとって探究心はすごく大事。とにかく上手くなりたいという貪欲さがある。そこを伸ばしていけるように、こちらもいいアドバイスができるように準備してやっている感じですね」と向上心の高さを評価した。
古谷も「自分で研究したりして、人から与えられたものばかりやるよりは、しっかり自分で考えてやった方が、その倍くらい自分の実になっていくと思う。しっかり自分の考えを取り入れてやっていきたいと思います」と話す。
古谷を取材していると、投手としてのタイプは違うが、上手くなろうという向上心や練習姿勢は、2年前に新人だった種市篤暉を思い出す。
「種市さんは一軍であまり話す機会はないですけど、同じ右ピッチャーで同じ6位でプロ入りし、2年目で初登板を踏んで、一軍で投げている投手。すごく尊敬しています。自分が今後一軍にあがったときに話す機会ができれば、歳も近いので種市さんにいろいろと聞けたらなと思います」。
二軍の試合中のボールボーイ、ネット裏でのチャート付けからでも、何かを得ようとしている古谷。貪欲さを見ると3、4年後、どのような投手に成長しているか想像するのが楽しみな選手のひとりである。
取材・文=岩下雄太