開幕から安定した投球を披露
ロッテのチェン・グァンユウは今季、ここまで20試合に登板し、27イニングを投げて、勝ち負けなしの防御率2.00。ロングリリーフ、ビハインドゲームなど、様々な局面でマウンドに上がるチームの救援陣には欠かせない存在だ。
ロングリリーフでは「リズムが大事。リズムよく投げて、打線にもリズムを与えたい」とテンポ良く投げ込むことを心がけている。17日の中日戦では、2-5の6回無死一塁の場面で、プロ初先発の中村稔弥の後を受けて登板。高橋周平にレフト前に運ばれたが、福田永将を三振、藤井淳志をセカンド・中村奨吾のファインプレーでダブルプレーに打ち取りピンチを脱した。
続く7回は三者凡退に抑えて2イニングを1安打、無失点と好リリーフ。反撃ムードをつくると、チームは7回裏に2点を返して1点差に迫った。
ふたりのアドバイスを糧に
チェンが開幕から好投を続ける要因のひとつに、“縦回転”を意識した投球フォームがある。
昨季、自己最速の150キロを記録したとき、チェンは「悪いときは横振りだった。直さんがきてから縦振りのフォームを意識するようになり、自主トレのときにはチェン・ウェインさんにも、体重移動の話や縦振りを意識するように言われました」と、当時一軍投手コーチを務めていた清水直行コーチ(現二軍投手コーチ)、自主トレを一緒に行う元中日のチェン・ウェインの2人から投球の際に“縦回転”を意識するように言われたことがキッカケだ。
清水コーチは「チェンの場合は、DeNAでも一緒にやっていて、良いところと悪いところをずっと見ていた。チェンは、どうしても制球が荒れることが多く、まとまらないことが多かった」と振り返り、「スライダーなど、横の変化をつけたがっていたけど、チェンの良さは縦回転で体が入ってくるところ。そう感じていたので、リリースの高さを見て、僕はこういう(縦回転の)動きをした方がいいんじゃないかとアドバイスした」という。
しかし、アドバイスをしたからといって、すべてが上手くいくわけではない。清水コーチは「本人がしっかりと意識をして、やらなければいけない、改善しなければいけないという取り組みが今の結果につながっている」と、その意識の高さや頑張りを称えた。
チェン自身も「注意しないとすぐに忘れるから、ずっと意識している。毎回、マウンドに行く前のブルペンでの最後の2球は、縦の回転をすごく意識しています」と常日頃から縦回転の意識を怠らない。周囲の話に耳を傾け、努力できる力が、ここまでの安定した投球の根底にある。
取材・文=岩下雄太