福浦から教わったこととは?
ロッテのドラフト4位・山口航輝は、5月1日の楽天との二軍戦でプロ初本塁打を放てば、同月22日の西武との二軍戦でサヨナラ安打を放つなど、ここまで二軍で打率.299と高卒新人とは思えないほどの対応力の高さを見せている。
プロのボールにしっかりと適応し順調にきているように見えるが、「調子が悪くなって、1度全然打てなくなったときがありました」と全くバットにボールが当たらず苦しんだ時期があったという。
「姿勢が丸くなっていたので、背筋をまっすぐにすることで、ボールとの距離感がわかると福浦さんから教えてもらいました」。
打てなかったときに昨季通算2000安打を達成し、今季から二軍打撃コーチを兼任する福浦和也からアドバイスをもらったそうだ。
「背筋をまっすぐすることを意識するようになって、最近また打てるようになってきました」と話すように、16日のDeNA戦から2試合連続マルチ安打、20日の西武戦ではプロ入り後初となる猛打賞を達成。“福浦効果”がさっそく結果として現れている。
本人も「ここ最近はしっかりボールを芯で捉えることができています。いい打球が増えてきましたし、しっかり変化球にも対応できています。今はいい感じかなと思います」と手応えを掴む。
試合後の反省も欠かさず
打撃好調の要因に福浦のアドバイスもあるが、試合前の準備、そして試合後の反省も大きく関係している。
「悪かったときの打席があったら、何が悪かったのか。打った時でもどういう風にバットが出ていたか。福浦さんから教わったことができているのかというのを確認しながら動画を見ています」。
“どうして打てたのか”、“なぜ打てなかったのか”と自身の打撃を徹底的に分析し、反省することを欠かさない。だからこそ、高卒新人ながら打率3割近いアベレージを残すことができているのだろう。
フルスイングを一旦封印!?
山口は昨年の新入団会見で「本塁打王を獲れるような選手になりたい」と目標を掲げ、プロ入り後の打撃練習を見ても、常にフルスイングでバットを振っていた。
ロッテ浦和球場で行われる試合前の打撃練習を見ると、力いっぱい振っていたスイングから一転、「芯で捉えることを意識して」と力が抜けた柔らかいスイングでレフトスタンドにボールを飛ばしていた。
「自分の持ち味はパワーだと思うんですけど、今はチームのために考えてやっています。ヒットで後ろに繋げていけています」と繋ぎの打撃を意識しているという。
ただ、本塁打へのこだわりを捨てたわけではない。「こういう打撃ができていれば、いずれはホームランも出てくると思います。今の状態を保って、ホームランを狙わずにつなぐ意識で打っていければと思います」。
将来は“右の長距離砲”として期待される山口。福浦から教わったことを頭に入れて、二軍で鍛錬を続けていく。
取材・文=岩下雄太