ついに山川を抜いて打点リーグトップに
西武の中村剛也が止まらない。
9月3日のオリックス戦で初回に2ランを放つと、翌4日は勝ち越しの犠飛とダメ押しの満塁本塁打で計5打点の荒稼ぎ。5日の試合でも満塁から走者一掃の適時二塁打を放ち、この3連戦で10打点の大暴れ。今季通算の打点を「111」まで伸ばし、チームメイトである山川穂高(109)を抜いてついにリーグトップに躍り出た。
8月15日に36歳を迎えたプロ18年目のスラッガー。現役最多6度の本塁打王に輝いている球界を代表するスラッガーではあるのだが、ここ数年はその打棒にやや陰りが見えるところもあった。その間に山川が台頭してきたこともあって、打順も含めて“主砲”の座を退いていた感もあったが、FA権を行使しての残留という決断を経て迎えた今季は見事に復活。山川が不振に苦しむ間に4番の座も取り返し、逆転優勝を目指すチームに欠かせない存在となっている。
驚異の満塁男ぶり
中村剛也を語るうえで外せないのが、「満塁での強さ」だろう。今年はそれが特に顕著だ。
9月4日に小林慶祐から放った今季3本目の満塁弾は、プロ18年目にして通算19本目。自身が持つ満塁本塁打の通算記録を今なお伸ばし続けている。
今季の満塁時の成績は31打数16安打で、打率にして.516という驚異の成績。満塁時は2回に1回以上ヒットを打っているということだ。さらに本塁打も3本放っていて、打点はなんと45。打点が打数を大幅に上回っていることから、“その1打席だけ”で見れば、満塁の時は「1点をあげてでも中村は避けた方が良い」ということになる。
もちろん、その通りに歩かせてしまえば、後ろには同じく生え抜きのベテランで勝負強い栗山巧がおり、さらにはリーグ4位の87打点をマークしている外崎修汰、リーグトップの40本塁打を放っている山川へと回っていくだけに、さらなる大量失点のリスクがのしかかってくることになる。今さら語ることでもないが、やはり敵の投手陣にとっては脅威でしかない打線だ。
現在はロード6連戦の真っ只中にいる西武。1カード目はオリックスに3連勝という最高の結果を残したものの、追いかけるソフトバンクも本拠地で楽天に3連勝。その差は「1」のままで変わらずとなっている。そして、6日からは敵地で楽天との3連戦。今季はここまで7勝10敗と苦しんでいる相手だけに、ここがひとつ踏ん張りどころとなる。
楽天戦との3連戦を追えれば、来週の水・木はホームにソフトバンクを迎えての首位攻防2連戦。天王山を良い形で迎えるためにも、週末の戦いで弾みをつけたいところ。気の抜けない戦いが続くなか、好調を維持している中村のバットに引き続き注目だ。
▼ 西武・中村剛也
ポジション:内野手
投打:右投右打
身長/体重:175センチ/102キロ
生年月日:1983年8月15日
経歴:大阪桐蔭高-西武(2001年・2位)
[今季成績] 119試 率.292(432-126) 本27 点111
[満塁成績] 率.516(31-16) 本3 点45 四死球2 三振7
文=尾崎直也