FA権は行使せず
DeNAの伊藤光が23日、球団事務所で契約更改を行った。
今年7月に国内FA権を取得したこともあり、その去就にも注目が集まっていたが、契約更改後の会見で「本日、FA権を行使せずに、横浜DeNAベイスターズにお世話になると決めました」と発表。「4年総額4.5億プラス出来高」という大型契約を結んだことも明らかにした。
伊藤は「トレード移籍してきた僕を、ファンの皆様が歓迎してくれて、応援してくれた。今シーズンも沢山の声援を頂いて、頑張れた。シーズン終わって考えているときにも、SNSや会ったときに“残ってください”や“どうしてもいて欲しい”という言葉が嬉しかった」と、横浜ファンのあたたかさが残留を決断する上での要素のひとつになったと主張。
また、FA権を取得する前、三原一晃球団代表と話をした際に、伊藤が「ベイスターズに救われたと凄く思っている」と伝えると、三原代表から「いや、お前に救われたんだ」と返されたことを明かし、「その一言がかなり心に響いた。これ以上ない評価だと思い、メチャクチャ嬉しかった」とコメント。球団の熱意を感じたことも、決断を下す際の要因となった。
三原代表も「実際に光に救ってもらえた」と、Win-winの関係であることを強調し、「今年はスタートから安定して試合を作ってくれた。バッティングでも印象的な満塁ホームランもあり、存在は大きい」と評価。DeNAでは初となる4年契約について、「長く活躍したいという本人の意向を可能な限り叶える」と共に、「期待の表れ。キャッチャーというポジションは、経験を積んで味が出る」と、理由を説明した。
来季以降に向けて
オリックスから昨シーズン途中にトレード移籍してきた伊藤は、今シーズンは正捕手の座をしっかり掴みチームに貢献。7月31日にはファウルチップを左指に受け、骨折で離脱するなどのアクシデントもあったが、84試合に出場し、ホームランは自己最多の8本、打率.254と攻守にわたって存在感を示した。
しかし、2位に終ったレギュラーシーズンについては、「(首位ジャイアンツと)0.5ゲーム差までいったけれど、かなり大きな差があった。ファンの皆様の前で胴上げを見させてしまった」と悔しさを露わにした。
安打数、ホームラン数(8)、打点(27)は「今年の倍」を目指すとし、「得点圏打率や、セ・リーグで最低だった盗塁阻止率」などを課題に挙げつつ、「勝ちにつなげる数字」を残すことでチームを勝利に導きたいとの意気込みを口にした。
4年契約を結び「長くチームの中心としてやって欲しいとの気持ち、誠意がものすごく嬉しかった。4年間はもっと上手くなれるチャンス。レベルアップしてチームの中心となり、もっともっとベイスターズに貢献したい」と気持ちを引き締めた。
チームになくてはならない存在となった扇の要は、不遇のときを乗り越え、横浜の地に骨を埋める覚悟でこれからも戦い続ける。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)