異例の出戻り
ベイスターズに高城俊人が帰ってきた。
2011年のドラフト2位でDeNA1期生としてベイスターズに入団した高城だったが、2018年の7月9日にトレードでオリックスへ移籍。しかし出場機会に恵まれず、今オフに戦力外通告を受けていた。その後、DeNAが13日に獲得を発表し、プロ野球界としては異例の“出戻り”となった。
笑顔で復帰会見
ベイスターズを出たあとも、「みんなのことが気になっていた。ベイスターズの試合を見ることが多く、またそのメンバーと野球ができることが嬉しい」と球団に対する愛着を語り、「みんな楽しそうに野球をしている。勝ちに対してみんなで戦っているのが羨ましかった」と振り返った。同時に「知っている選手はいっぱいいますが、僕は一度クビになっている人間。戻ってくるとの感覚ではなく、一からまたベイスターズでお世話になり、新入団選手と同じような、またここから第2のプロ野球生活がスタートするくらいの気持ちで一生懸命やりたい」と、リスタートに向けた意気込みを口にした。
苦しんだオリ時代と筒香の金言
オリックスでは「悔しい思いをたくさんした。ケガもして思うような野球ができない辛さ」も経験したが、「全く知らない人と(バッテリーを)組んで、1年半で性格も分かってきたりと色々あった。ベイスターズの時には無かったような配球もした。新たな発見をベイスターズでも生かしたい」と、苦しんだものの、違うリーグでの1年半の経験はプラスと捉える。
戦力外通告を受けた際も、復帰が決まった際も、一番最初に連絡したのは筒香嘉智だったことを明かし、「戻るという感覚ではダメ。1年目が凄く大切だから、自分の分岐点と思って野球をやれ」と叱咤激励の言葉を送られたという。その言葉を胸に「ピッチャーとのコミュニケーションを大切に。ピッチャーから“僕と組みたい”と言ってもらえるような関係性を作り、信頼してもらえるように」と、目標を定めた。
トレード相手でもある伊藤光に、共に正捕手争いを繰り広げた嶺井博希に戸柱恭孝、成長著しい山本祐大と、ライバルの多いベイスターズのキャッチャー陣。一度違う景色を体感した高城俊人が、どこまで食い込んでくるのか――。着慣れた青の縦じまに、新背番号「36」を背負う「強肩強打の凄いヤツ」第2章に期待したい。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)