ファームでチームトップの9勝
ロッテの小島和哉、中村稔弥の両サウスポーは、春季キャンプ、練習試合、オープン戦と開幕一軍に向けてアピールしたが、左腕でいえば、土肥星也の存在も忘れてはならない。
土肥は制球に苦しむことが多かったが、18年の秋季キャンプで下半身を主導にした投球の指導を受けた。ファームでは昨季初登板となった3月17日の西武戦から4月14日の日本ハム戦にかけて5戦5勝。この間に31回2/3を投げて、与四死球はわずかに5つと、大幅に制球力が改善された。昨季はファームでチームトップの9勝をマークした。
ただファームで好投しながらも、一軍での登板がなかなか巡ってこない時期もあった。一軍で昨季挙げた白星は、自身の誕生日だった7月7日の西武戦で5回を1失点に抑え勝利投手となったこの1試合のみ。
土肥は昨季終了後の取材で「もっとできたかなという1年。もうちょいいい投球ができたのかなと思います」と振り返り、「投げたイニングもそんなに長くなかったりしたので、もう1イニングでも来年(2020年)は投げられるようにすれば、良いんじゃないかなと思います」と決意を述べた。
昨年10月に左肘を手術
2020年シーズンに向けて、レベルアップを図りたいところだったが、19年10月3日に『左肘の関節鏡視下クリーニング術』。
「キャンプでしっかりピッチングができるようにすれば、自分のなかでは間に合うかなと。急いでも仕方がないので、キャンプでピッチングができるくらいに持ってこれれば」。
「12月、1月はこっちで今やっているものをやったりしたいです。今やっているトレーニング、ランニングを中心にオフもやって肘の状態を見て投げたりしたいです」。
「とりあえず早く治してまずは、今年(2019年)に投げた状態に早く戻してそこからですね。次を考えるのは」。
土肥は、春季キャンプで投げ込みすることを目標にリハビリに励んだ。1月のロッテ浦和球場で行った自主トレではランニングや、室内練習場で距離を少しずつ伸ばすスローイングを繰り返した。春季キャンプでは「キャンプの最後にピッチングをしました」と投球練習を再開。
2月28日に行われたロッテ浦和球場での練習では、捕手を座らせてストレート、スライダー、カットボールといった変化球を交えて投げ込んだ。この日の投球に本人は「まだ完全ではないですね」と話し、「焦っても仕方がないと思っている。開幕は絶対に間に合わない(※開幕延期が発表される前の2月28日に取材)。そのあとにまた先発の枠が空いてきたら、上がれるようにと思ってやっている。焦っていないです」と、自身の復帰プランを描いていた。
その後は、ブルペンでの投球練習を重ね、3月20日の楽天との二軍練習試合で実戦復帰。ヒットを1本打たれたが、1回を無失点に抑えた。
3月20日に開幕が予定されていたプロ野球は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、開幕が無期延期と発表された。この延期が土肥にどのような影響、効果をもたらすのかーー。ファームでは昨季結果を残しているだけに、今季は一軍で1つでも多くの白星を挙げたいところだ。
文=岩下雄太