連続ヒットを継続中
ベイスターズの乙坂智選手が好調だ。5月28日に始まった紅白戦を含めると、6月4日の楽天戦までの5試合すべてでヒットを記録。限られた打席数の中でも地道にアピールを続けている。
6月2日に始まった練習試合では、オースティンの代走として出場し、9回に先頭で打席が回ってくると、楽天の青山浩二からライト前にクリーンヒット。翌3日は「指名打者」として先発出場し、2打席目に変則左腕の高梨雄平から流し打ちで左安打を記録した。
そして4日の試合では、梶谷隆幸に代わってセンターに入り、迎えた打席では安樂智大の初球をライト前に弾き返した。練習試合では5打数3安打、結果を出すとともにヒットの内容も良い。
昨年は4月下旬に一軍に招集されると、8月には自身初のサヨナラ犠牲フライを記録。得点圏打率は「.382」と、ここ一番で力を発揮し、CSでは負けたら終わりの崖っぷちのゲームで、チームを救うサヨナラホームランを放つなど、自己最多の97試合に出場し、印象に残る活躍をみせた。
そして、「チームを勝利へ導く選手になることを継続してやっていきたい」との志を持って、昨年オフはアメリカへ。トレーニングを重ねて鍛え上げた結果、オープン戦でも打率は3割超え、自粛期間も「部屋でも素振りのために畳を購入」し、「MLB選手の動画をYouTubeで研究」するなど有効活用し、ここまで好調をキープしている。
指揮官「非常に安定している」
ラミレス監督も「非常に安定していて、ポジションを奪ってもおかしくないくらいの状態にある」と評価しつつ、「彼は非常に使い勝手のいい選手。外野の3ポジションをこなせ、バッティングもチャンスに強い。スタメンではなくても途中出場で、代打など色々なところで使える価値の高い選手」と続け、その器用さ故にベンチに置いておきたいニュアンスも感じ取れた。
とはいえ、「今の状態は良いので、少しずつ考えながら使う。チームの中ではいいポジションまで上がってきている」と、ユーティリティプレーヤーからもう一段上の起用法も視野に入れ始めているようだ。
ベイスターズの外野は、ライトに新外国人スラッガー、タイラー・オースティン、レフトに新キャプテン佐野恵太がおり、残るセンターを梶谷隆幸、神里和毅、桑原将志らで争っているのが現状だ。
今年のペナントレースは120試合の短期決戦。ラミレス監督もスタートダッシュが必須と話しており、コンディションやデータを駆使した“Day by day baseball”を掲げている。このまま乙坂が安定した成績を残し続けることができれば、いつの間にか「中堅」の座に“ニコ”が座っている可能性も否定できないだろう。
取材・文・写真=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)