打撃でアピール
「このオフは、強いまっすぐを1球で仕留める練習をしていました」。
春季キャンプ中の2月11日の取材で、このように話していたロッテ・菅野剛士。
「風が強かったので、いってくれ〜と思いながら走りました」。
11日の西武戦、先発・松本航から今季第1号となる先制2ランを放った球種は、オフの自主トレで一発で仕留められるよう取り組んできた“ストレート”だった。
この日の菅野は4回にも、二死二塁から松本の140キロのストレートをライト前に弾き返す適時打。1本塁打を含む2安打3打点の活躍で勝利に貢献し、指揮官も「菅野が仕事をしてくれたと思います。今年は初回のあと中押しができなかったんですけど、あそこで引き離したのは大きかったと思います」と勝利の立役者となった背番号31を褒めた。
翌12日も3回に適時打を放つなど2安打1打点と、今マリーンズの打線のなかでノッている選手のひとりだ。
外野のライバルが加入
プロ2年目の昨季はファームで打率を3割記録しながら、一軍では28試合の出場にとどまり、53試合に出場したプロ1年目から大きく出場機会が減少した。
昨季シーズン終了直後には「上で活躍しないと何にも意味がない。できたことを上でチャンスをもらったときに同じような結果、パフォーマンスを出せるようにするために、これからもっと頑張ってやっていかないといけないと思います。守備も走塁も打撃も全てレベルアップしないと、レギュラーで出ている人たちには勝てない。そこを超えなくてはいけない」と危機感を募らせていた。
そんななか、チームはFAでソフトバンクから福田秀平、ドラフトでは高部瑛斗と、菅野と同じ“右投げ左打ち”の外野手を獲得。
「本当にライバルが多いので、僕も毎日アピールしないと出られない。毎試合チャンスをもらったら結果を残すために、そこで結果を出すだけと考えながらやっています」と春季キャンプ中に、このように話していた菅野は2月の練習試合で、打率.415(41打数17安打)、2本塁打、4打点とアピールした。
シーズン開幕に向けてさらに状態を上げていきたいところだったが、3月のオープン戦、練習試合に入ってからは当たりが止まった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、開幕が6月19日と変更となり、再びアピールをしなければいけなくなったが、6月の練習試合でも打率.100(10打数1安打)。福田秀、荻野貴司、マーティン、角中勝也、清田育宏といった実力組を脅かすような働きができず、開幕をファームで迎えた。
開幕はファームスタートも
ファームでは雨天中止などが多くなかなか実戦が積めない中、6月21日のDeNA戦、26日の西武戦、30日のヤクルト戦で本塁打を放つなど、3本塁打をマーク。26日の西武戦は7回に代打で登場し、満塁本塁打と“1打席”で結果を残した。
ファームで状態を上げ、満を持して7月7日に一軍昇格。『3番・レフト』で今季初スタメンとなった10日の西武戦で今季初安打を放つと、この試合から3試合連続スタメン出場中で3試合連続安打中だ。
「2年間いい成績を残せていない。今年は良い成績を残したい。また試合の状況でしっかりと貢献できるようにしたい」。昨季は交流戦期間中に存在感を示したが、長くは続かなかった。今季こそ掴んだチャンスを手放さず、外野のポジションを確保したいところだ。そのためにも、打ち続けるしかない。
文=岩下雄太