良いところを伸ばす
ロッテの山本大貴は現在、一軍昇格を目指し、ファームで汗を流している。
昨季シーズン自己最多の12試合に登板した山本は、今春のキャンプでは一軍スタートを切り、対外試合も一軍で登板。しかし、3月2日のオリックス戦の登板を最後にファームでの調整となっている。
ファームでは3月20日のDeNAとの開幕戦で1回を無失点に抑えると、26日の楽天戦は走者を出しながらも、1回を無失点に抑えた。
「キャンプも一軍に帯同させてもらったり、今はファームにいるんですけど、良いことも悪いことも出てはいる。やることは変わらないといいますか、課題を潰していくこと。それと、いいところを伸ばすという意識を強くもって取り組もうかなと思っています」。
その理由について「今までも課題を潰して、修正してやっているんですけど、それ一本になりすぎて、自分の良さはなんだったんだろうと。修正して課題を潰していくということはもちろんやるんですけど、自分の良さを消してまで、変えることはあんまりよくないんじゃないかなと。良いところを伸ばしていこうと、考え方を変えるようにしました」と明かした。
「僕自身考え込んで、ズルズルといってしまうのは悪いところ。プエルトリコへ行って学んだのもそうですけど、もっとシンプルに考えられるように。いろんな角度から修正できるポイントがあると思うので、そういうところを意識しています」。
具体的に山本は自身の良いところについて、「腕を振れるというところと、力強いストレートを投げること。ここに関しては僕自身もそうですし、受けているキャッチャーや投手コーチからも言われたりするので、そこは消さないように」と分析し、「変化球もカットボール、スライダーは、一軍で勝負ができる球だと思っている。そういう部分はもっと良いものにやっていこうと思います」と続けた。
力強くなったストレート
特にストレートは昨季開幕してからかなり力強くなった印象だ。2年ぶりの一軍マウンドとなった昨年7月17日の日本ハム戦(札幌ドーム)では、ストレートの最速は147キロを記録し、同日に投げていたストレートは常時145キロ以上を計測した。
「去年も具体的になにかをやったからスピードが上がったという確証はないのですが、全体的にしっかりとトレーニングをやりました。速いだけでは意味がないとは思うんですけど、とにかく速い球を投げたいという思いはあったので、それが結果になってくれていた。間違っていなかったかなとひとまず思ったという感じです」。
ストレートに一定の手応えをつかんでいるが、現状に満足はしていない。
「一番は少ない力で強い球を投げるのが理想。たとえば、今だったら100%の力で140キロ後半のボールを投げていたとしても、極端な話ですが、自分のキャパを大きくしていければ、将来的には5割の力で140キロ後半くらいのボールを投げることができると思います」。
このオフも「投球面において、去年のオフシーズンから力強いストレートを投げると言っていたので、そこは一番の軸になってくる。1年間通して強い球を投げるということは継続してやっていきたいと思います」と、力強いストレートを求めて日々トレーニングを積む。
「昨年(一軍で)12試合に投げましたが、もっともっと試合数を投げたいと思っていますし、その中で昨年は負けている試合での登板が多くて、経験という感じで投げさせてもらっていた。自分で掴み取りにいかないといけないと思っている。そのつもりでやっていますし、その気持ちを忘れずにこれからもやっていきたいと思います」。
開幕は二軍スタートとなったが、シーズンはまだ始まったばかり。特にマリーンズの左のリリーフは手薄。ファームでアピールしていれば、昨季のようにシーズン途中に一軍に昇格するチャンスは巡ってくるはず。そのときが訪れるまで、自分の良いところをしっかりと伸ばしていって欲しいところだ。
取材・文=岩下雄太