勝ちに不思議の勝ちあり…?
春の嵐のなか、乱打戦を制したヤクルトが勝率5割に復帰。
先発したプロ2年目の奥川恭伸投手(19)は、雷雨で約1時間の中断を挟む難しい状況でのマウンドとなったが、味方の援護もあって嬉しいプロ初勝利を掴んだ。
試合は初回から大きく動く。
奥川はかんたんに二死を奪いながら、西川龍馬の安打と鈴木誠也の二塁打でピンチを招き、松山竜平には低めのフォークをすくい上げられ、これがセンターへの2点適時二塁打。二死からの3連打で2点を失ってしまう。
さらに會澤翼にはライトへの安打を許し、この間にも追加点を奪われると、つづく安部友裕にもセンターへの二塁打を浴び、一気の5連打で4失点。広島打線の勢いに飲み込まれた。
それでも、直後に味方打線が奮起。先頭からの3連打でチャンスを作ると、村上宗隆は押し出しの四球、さらに荒木貴裕と太田賢吾は連続犠飛と、満塁から安打なしで3得点。
また、太田の犠飛間に一塁から二塁へ進塁した村上の好走塁もあって、つづく西浦直亨のレフトへの安打が適時打に。なんと1イニングで4-4。試合を振り出しに戻した。
試合が落ち着く間もなく2回表、奥川は9番・中村祐太を打席に迎えたが、ここで突然の雷雨。試合が中断となり、再開までは50分以上を要した。
そんな難しいコンディションにもめげず、奥川は2回をゼロ。3回は先頭の鈴木誠也に一発を浴び、4-5と勝ち越しを許したものの、今度も打線が奮起。西浦と松本友の連続適時打で試合をひっくり返す。
リードをもらった奥川は、4回は二死から安打を許すも後続を斬り、5回は打たれている鈴木を空振り三振に仕留めるなど、2三振で三者凡退。最後はガッツポーズも飛び出し、プロ初勝利を権利を手にする。
2年目右腕になんとか初白星を…。打線はその後も打ちまくり、4回に1点、5回に3点とリードを拡大。
8回にも1点を加えて11点目を挙げると、9回は長谷川宙輝が鈴木にこの日2本目となる2ランを浴びたものの、11-7で逃げ切り。打ち合いを制したヤクルトが連勝を2に伸ばし、奥川に嬉しいプロ初勝利がついた。
点を取られるたびに味方打線が奮起。まさに"勝ちに不思議の勝ちあり"とはよく言ったものだが、有識者はこの日の奥川のピッチングをどう評価したのだろうか…?
8日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した解説者の大矢明彦氏は、「点を取ってもらえたから良かったよね。ふつうなら一方的に負けてもおかしくなかった」と振り返る。
特に初回については、「なんでこんなに打たれるんだろう、という感じ。松山に打たれたフォークも空振りが取れない。球道が見えてきちゃっているということかな?」と、痛打を浴びたシーンについて言及。
一方で、勝利投手の権利がかかった5回に見せた投球には、「気持ちが入った内容でしたね。勝利投手がどうのこうのというよりも、このイニングはリリースする指の力というのかな、これがすごく感じられた」と、序盤よりも球に力が乗っていたことを挙げ、「プロ野球の投手の場合、"そこに投げる"というコントロールに、"このボールを投げてどう打ち取るか"という気持ちが加わってくると、投げるボールに目的意識がハッキリ出てくる。もっと良いピッチャーになれると思いますよ」と、より高みへステップしていくためのアドバイスも添えた。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』