県内55市町目のフレンドリーシティ
西武は今月1日、春日部市と新たに「連携協力に関する基本協定」を締結したことを発表した。
地域コミュニティ活動「L-FRIENDS(エル フレンズ)」の活動の一環である「連携協力に関する基本協定」とは、お互いが持つ資源を有効に活用し、協働して事業に取り組むことを通じて、地域社会の発展や市民福祉の向上などに寄与することを目的に行うもの。西武では2015年から県内の自治体とこの取り組みを行っており、春日部市は県内55市町目のフレンドリーシティとなった。
その締結式に西武の居郷肇代表取締役社長と共に出席したのが、ライオンズのOBであり、現在は『球団本部チーム統括部編成グループ国際業務チーフ兼企画室』として、主に外国人選手のスカウト業務を担っている土肥義弘だ。
この春日部市は、土肥が人生のターニングポイントになったと語る思い出の地。高校時代の3年間を過ごした土地だ。今から29年前、野球に没頭していた土肥は、甲子園を目指し、春日部共栄高校の門を叩いた。「この場所で野球をやっていくんだ!」と中学生ながらに強い意志を持っていたという。
土肥が再びこの地を訪れたのには理由がある。通常は居郷肇社長と球団マスコットらがこの締結式に出席するが、「春日部市と言えば土肥だろ」という居郷社長の鶴の一声?で急遽、出席が決まった。一方で、スーツに身を包んだ土肥は、感慨深げな表情で、春日部市役所入り。締結式の中では春日部市への感謝の思いを口にした。
「甲子園で準優勝した時にはパレードもしていただきました。でも一番印象に残っているのは母と(中学校の)野球部顧問と春日部共栄の練習に参加したとき。緊張したけれど、『俺はここで野球をやる』と決めた日でした。それは私の人生のターニングポイントでした」。
そんな土肥にとっての思い出深い大切な場所も、この日を境にライオンズのフレンドリーシティに。「これを機に、ライオンズのアカデミーコーチが春日部市の小学校に訪問することもできます。小学生が野球を学ぶ、何か子どもたちにとってインスピレーションを感じる、人生のターニングポイントになるきっかけになれば素晴らしいものだと思います」と今後の展望を語り、「春日部の子どもたちに自分の経験を還元したい」と続けた。
西武は今年、東秩父村、長瀞町、幸手市、上里町、そしてこの春日部市と、連携協定を締結してきた。フレンドリーシティとなった各自治体では、レオとライナや公式パフォーマー・ブルーレジェンズが幼稚園・保育園などを訪問したり、小学生、園児をライオンズ主催の公式戦に抽選で招待するなど、接点が増えている。加えて、町の施策や広報などにライオンズの商標・肖像を活用することも容易になる。
一方、西武にとっても埼玉県内にフレンドリーシティが増えていくことは非常に心強いこと。これを機に、またひとり『L』のキャップを被る子どもが増えてくれれば、山賊たちにとってもこれほどうれしいことはないだろう。