話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、独立リーグ・福井から福岡ソフトバンクホークスへの移籍が決まった秋吉亮投手にまつわるエピソードを紹介する。
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7月19日、ソフトバンクへの電撃加入が決まった秋吉亮の入団会見が行われ、ここまでの苦しい道のり、NPB復帰への喜びを語ってくれました。
秋吉は昨年(2021年)オフ、当時在籍していた日本ハムから「ノンテンダー」の提示を受けました。ノンテンダーとは「来季の契約提示をしない」という意味で、再契約の可能性は残すものの、その場合は大減俸を飲むことになります。メジャーでは、成績に年俸が見合わなくなった選手がよくこの提示を受けます。実質「戦力外」と言っていいでしょう。(※「ノーテンダー」という言い方や表記もよく見ますが、本稿では「ノンテンダー」で統一)
日本ハムを退団後、NPBでの移籍先が見つからず、独立リーグ・日本海オセアンリーグの福井ネクサスエレファンツでプレー。会見で見せた日焼けした精悍な表情からは、33歳の苦労人がNPB復帰を果たすまでの努力の過程が窺い知れました。
NPBではヤクルト、日本ハムの2球団で通算379試合に登板し、20勝24敗、71セーブ。プロ1年目から3年連続60試合以上に登板した鉄腕ぶりなど、実績が十分なのは誰もが知るところ。ノンテンダーとなった昨年こそ、1軍での登板数はわずか10試合でしたが、防御率は2.70と決して打ち込まれたわけではありませんでした。
福井での成績は18試合の登板で1勝2敗7セーブ、防御率2.66。打者の顔ぶれがプロレベルではないことも考慮する必要はありますが、特筆すべきは三振の多さです。福井時代の奪三振率(1試合平均の奪三振数)は15.49というハイレベルな数字で、リーグ月間MVPを受賞した5月に限定すれば、奪三振率は驚異の19.55を記録。ストレートの球威は復活し、スライダーを中心とした自慢の変化球のキレも健在であることが、この数字からも窺い知れます。
もちろん、ソフトバンクでも、この磨き直した2つの球種がカギを握るのは間違いありません。
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現在、混戦模様のパ・リーグで首位を争うソフトバンクですが、今季、ここまでモイネロと並んでチーム最多登板だった又吉克樹が右足甲の骨折で今季中の復帰は絶望的。それだけに、秋吉が独立リーグで磨き直したストレートとスライダーへの期待は大きなものがあります。
そして、独立リーグを経験したことで楽しみなのは、秋吉がもともと持っていた「逆境からの飽くなき挑戦」という姿勢を取り戻してくれたのではないか、ということです。振り返れば、秋吉は高校時代から「逆境からの挑戦」を経て、飛躍を遂げてきたからです。
都立高校出身で、当初はセカンドを守っていた秋吉。しかし、セカンドからのスナップスローに可能性を見出した当時の監督の発案で投手にコンバートし、3年夏には3試合連続完封をするなど、東東京大会で大健闘のベスト4。のちに侍ジャパンの一員にまでのぼり詰め、2017年WBCにも出場したサイドスロー右腕の物語はここから始まったのです。
都立から侍ジャパンへ、という大いなる飛躍で野球ファンに夢を与えてくれた秋吉はいま、ノンテンダー&独立リーグからNPB復帰、という形でまた野球ファンに夢を届けようとしています。だからこそ、ここから秋吉が投球内容でも見事な復活劇を見せてくれれば、今後、独立リーグを経てNPBに復帰するケースが増えることも期待できます。
そんな秋吉は、独立リーグ・福井を退団するにあたって、こんな言葉も残していました。
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まさに、33歳というベテランになっても夢を持ち続け、見事に結実しようとしているのです。
ソフトバンクの藤本監督は、最短なら22日のオリックス戦(京セラドーム大阪)での「ホークスデビュー」のプランを明かしています。そしてその先には、日本ハム戦での「恩返し登板」という見逃せない対決も待っています。その日本ハム戦に向けて、秋吉はこんな言葉も残しています。
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日本ハムとソフトバンクの直近の試合は8月2日からの3連戦。北海道を舞台に、リベンジマッチが見られそうです。
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『すごく嬉しいです。去年ノーテンダーで自由契約になり独立リーグへ行きました。すごく悔しい思いをしましたし、まだNPBでやりたい気持ちはあったので、ホークスに入団できて嬉しいです』
~『福岡ソフトバンクホークス』球団公式サイト より(2022年7月19日の入団会見コメント)
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7月19日、ソフトバンクへの電撃加入が決まった秋吉亮の入団会見が行われ、ここまでの苦しい道のり、NPB復帰への喜びを語ってくれました。
秋吉は昨年(2021年)オフ、当時在籍していた日本ハムから「ノンテンダー」の提示を受けました。ノンテンダーとは「来季の契約提示をしない」という意味で、再契約の可能性は残すものの、その場合は大減俸を飲むことになります。メジャーでは、成績に年俸が見合わなくなった選手がよくこの提示を受けます。実質「戦力外」と言っていいでしょう。(※「ノーテンダー」という言い方や表記もよく見ますが、本稿では「ノンテンダー」で統一)
日本ハムを退団後、NPBでの移籍先が見つからず、独立リーグ・日本海オセアンリーグの福井ネクサスエレファンツでプレー。会見で見せた日焼けした精悍な表情からは、33歳の苦労人がNPB復帰を果たすまでの努力の過程が窺い知れました。
NPBではヤクルト、日本ハムの2球団で通算379試合に登板し、20勝24敗、71セーブ。プロ1年目から3年連続60試合以上に登板した鉄腕ぶりなど、実績が十分なのは誰もが知るところ。ノンテンダーとなった昨年こそ、1軍での登板数はわずか10試合でしたが、防御率は2.70と決して打ち込まれたわけではありませんでした。
福井での成績は18試合の登板で1勝2敗7セーブ、防御率2.66。打者の顔ぶれがプロレベルではないことも考慮する必要はありますが、特筆すべきは三振の多さです。福井時代の奪三振率(1試合平均の奪三振数)は15.49というハイレベルな数字で、リーグ月間MVPを受賞した5月に限定すれば、奪三振率は驚異の19.55を記録。ストレートの球威は復活し、スライダーを中心とした自慢の変化球のキレも健在であることが、この数字からも窺い知れます。
もちろん、ソフトバンクでも、この磨き直した2つの球種がカギを握るのは間違いありません。
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『NPBで8年間やってきた経験をしっかり生かしたい。また、自分はサイドスローで、ストレートで押してスライダーで空振りをとる。打者との読みの勝負をしています。そこもしっかりやっていきたい。また、自分は気持ちで抑えに行くタイプ。そこを見てもらいたいです』
~『福岡ソフトバンクホークス』球団公式サイト より(2022年7月19日の入団会見コメント)
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現在、混戦模様のパ・リーグで首位を争うソフトバンクですが、今季、ここまでモイネロと並んでチーム最多登板だった又吉克樹が右足甲の骨折で今季中の復帰は絶望的。それだけに、秋吉が独立リーグで磨き直したストレートとスライダーへの期待は大きなものがあります。
そして、独立リーグを経験したことで楽しみなのは、秋吉がもともと持っていた「逆境からの飽くなき挑戦」という姿勢を取り戻してくれたのではないか、ということです。振り返れば、秋吉は高校時代から「逆境からの挑戦」を経て、飛躍を遂げてきたからです。
都立高校出身で、当初はセカンドを守っていた秋吉。しかし、セカンドからのスナップスローに可能性を見出した当時の監督の発案で投手にコンバートし、3年夏には3試合連続完封をするなど、東東京大会で大健闘のベスト4。のちに侍ジャパンの一員にまでのぼり詰め、2017年WBCにも出場したサイドスロー右腕の物語はここから始まったのです。
都立から侍ジャパンへ、という大いなる飛躍で野球ファンに夢を与えてくれた秋吉はいま、ノンテンダー&独立リーグからNPB復帰、という形でまた野球ファンに夢を届けようとしています。だからこそ、ここから秋吉が投球内容でも見事な復活劇を見せてくれれば、今後、独立リーグを経てNPBに復帰するケースが増えることも期待できます。
そんな秋吉は、独立リーグ・福井を退団するにあたって、こんな言葉も残していました。
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『独立リーグにきて、選手のみんなには「みんなと同じ夢、目標がある」と伝えて、一生懸命、練習や試合をしてきました』
『夢や目標を諦めなければ絶対にかなう―。僕はそう信じています』
~『Yahoo!ニュース(個人コーナー)』2022年7月19日配信記事 より
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まさに、33歳というベテランになっても夢を持ち続け、見事に結実しようとしているのです。
ソフトバンクの藤本監督は、最短なら22日のオリックス戦(京セラドーム大阪)での「ホークスデビュー」のプランを明かしています。そしてその先には、日本ハム戦での「恩返し登板」という見逃せない対決も待っています。その日本ハム戦に向けて、秋吉はこんな言葉も残しています。
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『日本ハムを見返してやろうというか、そういう思いはありました。出さなければ良かったと思われるように頑張らないといけないと思うし、結果を出すしかないので。日本ハムとやるのが楽しみだなというのもありますね』
~『スポーツ報知』2022年7月19日配信記事 より
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日本ハムとソフトバンクの直近の試合は8月2日からの3連戦。北海道を舞台に、リベンジマッチが見られそうです。