昨年届かなかった栄冠に再挑戦
オリックス世紀の逆転優勝劇を振り返る上で欠かせないのが、“リードオフマン”福田周平の活躍だろう。
9月30日のロッテ戦(京セラD大阪)でサヨナラスクイズを決めると、10月2日の楽天戦(楽天生命パーク)では逆転タイムリー。一時はファーム降格も命じられた男が、土壇場の142試合目と143試合目にチームを救う働きを見せた。
レギュラーシーズン最終盤は負けられない試合が続いたが、「いつもどおりですね。野球というのは僕一人の力で勝てるものでもないし、みんなが束になってやらなきゃいけないので。やるべき仕事、各々全員あると思うんですけど、それを全うするだけだなと思ってた」と平常心で臨んだことが最高の結果につながった。
プレーに精彩を欠き、9月8日には出場選手登録を抹消されファーム降格を味わった。「(抹消中の)10日間がいい期間に絶対なるように」と陽の光を浴びながらの再調整。「抹消されたのは不甲斐なかったし、妥当でしたよね。チームに迷惑をかけていたぶん、上がって来たときは勝利に貢献出来るように何とかしないとなと思っていました」と、結果的に抹消期間も復活の原動力になった。
ラスト2試合で連覇を手繰り寄せる大仕事を成し遂げたものの、福田は「僕だけの力じゃないし、みんなの力で1勝、1勝を積み上げてきた。ただ僕のやるべき仕事が何とか良い方向に行ってくれて、そこの充実感はある」とチーム全員で勝ち取った優勝であることを強調した。
昨年は日本シリーズまで勝ち進みながら、目の前でヤクルトに胴上げを許した。「今年は日本一を獲りたいので、まずその土俵に立てるようにCSで勝って、日本一が獲れる舞台に立ちたい」と語ったリードオフマン。持ち前の“野球脳”をフル回転させて、昨年届かなかった日本一を掴み取る。
取材・文=どら増田