話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、元巨人の上原浩治氏、元阪神の藤川球児氏の「特例入会」が決まったプロ野球名球会にまつわるエピソードを紹介する。
巨人と阪神を牽引した2人の偉大な投手の名球会入りが“特例”で承認された。12月9日、日本プロ野球名球会が総会を開き、会員の4分の3以上の賛成を得て、元巨人の上原浩治氏、元阪神の藤川球児氏の初めてとなる特例での名球会入りを決定した。
これまで、入会には「打者は日米通算2000安打以上、投手は200勝以上もしくは250セーブ以上」という規定があった。だが、2019年12月の総会において、投手の分業制が進んでいるなど野球が変化していることを受け、名球会の“従来の入会規定に相当する記録保持者”を対象に特例を設けることを決定。「日米通算134勝128セーブ104ホールド」の上原氏、「日米通算61勝、164ホールド、245セーブ」の藤川氏は、その初の該当者となったわけだ。
この決定を受け、2人は次のようなコメントを残している。
-----
-----
-----
今回の特例入会について、名球会の新理事長に就任した古田敦也氏は「大谷君が100勝1000本打ったら2000本より価値があると思う」として、さらにこんな見解を示している。
-----
-----
この発言、そして「柔軟な対応」という意向には大賛成だ。メジャーリーグが「大谷ルール」をつくって二刀流の可能性を広げたように、時代に合わせて「柔軟な対応」をしていかなければ、野球界はますます他のエンターテイメントにその座を奪われかねない。そのためにも、ファンを魅了した選手の功績を後世に伝えていくことは大きな意義があるはずだ。
そもそも、「打者は日米通算2000安打以上、投手は200勝以上もしくは250セーブ以上」というこれまでの規定が、野球という競技の持つ多様性を反映しきれていないのではないか。“特例入会”の上原氏自身、こんなコメントを残している。
-----
-----
その一例として、歴代最多380ホールドをマークする日本ハムの宮西尚生の名を挙げ、
-----
-----
……と私見を述べている。
そこで本稿では、こうした「名球会にふさわしい記録」を他にもピックアップし、後世に名を残すべき野球人を改めて検証したい。
まず、上原氏も挙げた「本塁打」について。上原氏の提言する「500本塁打」は歴代達成者8人が全員2000本安打をクリアしているために規定になっていないのだろうが、これは「400本塁打以上」としても十分に格を保てるはず。むしろ、過去に54人が達成した2000安打に対して、「400本塁打」はわずか20人という希少性を重視したい。
この「400本塁打」達成者のうち、「2000安打」に到達していないため名球会入りしていないのは……
-----
・田淵幸一[474本塁打、1532安打](元阪神、西武)
・T.ローズ[464本塁打、1792安打](元近鉄、巨人、オリックス)
・山﨑武司[403本塁打、1834安打](元中日、楽天)
-----
そして現役選手では、
-----
・中村剛也[454本塁打、1698安打](西武)
-----
……が該当者となる。
同じ「400」という数字であれば、「通算400盗塁以上」も過去にたった7人しか達成できていない偉大な記録だ。400盗塁以上で2000安打に到達していないのは……
-----
・木塚忠助[479盗塁、1216安打](元南海、近鉄)
・高橋慶彦[477盗塁、1826安打](元広島、ロッテ、阪神)
・金山次郎[456盗塁、1281安打](元松竹、広島ほか)
・大石大二郎[415盗塁、1824安打](元近鉄)
-----
同じく、過去に3人しかいない「通算400犠打」も考察したい。400犠打以上で2000安打を放ったのは宮本慎也[408犠打、2133安打](元ヤクルト)のみ。他の2人は……
-----
・川相昌弘[533犠打、1199安打](元巨人、中日)
・平野 謙[451犠打、1551安打](元中日、西武、ロッテ)
-----
現役選手ではソフトバンクの今宮健太[346犠打、1141安打]、広島の菊池涼介[328犠打、1477安打]の2人しか狙えそうにない難しい記録だけに、もっと光を当てたい。
打者の華が「本塁打」なら、投手の華は「奪三振」。過去に22人しか達成できていない「通算2000奪三振」も名球会にふさわしい記録ではないか。2000奪三振以上で200勝に到達していないのは……
-----
・石井一久[2550奪三振、182勝 ※ともに日米通算](元ヤクルト、西武ほか)
・三浦大輔[2481奪三振、172勝](元横浜)
・小野正一[2244奪三振、184勝](元大洋、中日、ほか)
・杉内俊哉[2156奪三振、142勝](元ソフトバンク、巨人)
・槙原寛己[2111奪三振、159勝](元巨人)
・川口和久[2092奪三振、139勝](元広島、巨人)
・西口文也[2082奪三振、182勝](元西武)
・星野伸之[2041奪三振、176勝](元オリックス、阪神)
・松岡 弘[2008奪三振、191勝](元ヤクルト)
-----
松岡氏は、200勝にあとわずか9勝届かず、ということでよく話題になる人物。2000奪三振も加味して、名球会入りしてしかるべき野球人ではないか。また、現役選手では楽天の岸孝之[1996奪三振、149勝]、中日に移籍した涌井秀章[1909奪三振、154勝]が射程圏といえる。
ここで挙げた記録以外にも、名球会にふさわしい偉大な記録はまだあるかも知れない。他の競技に比べても記録をめぐる話題が多いだけに、ファンも球界OBも納得できる「柔軟な対応」を期待したい。
巨人と阪神を牽引した2人の偉大な投手の名球会入りが“特例”で承認された。12月9日、日本プロ野球名球会が総会を開き、会員の4分の3以上の賛成を得て、元巨人の上原浩治氏、元阪神の藤川球児氏の初めてとなる特例での名球会入りを決定した。
これまで、入会には「打者は日米通算2000安打以上、投手は200勝以上もしくは250セーブ以上」という規定があった。だが、2019年12月の総会において、投手の分業制が進んでいるなど野球が変化していることを受け、名球会の“従来の入会規定に相当する記録保持者”を対象に特例を設けることを決定。「日米通算134勝128セーブ104ホールド」の上原氏、「日米通算61勝、164ホールド、245セーブ」の藤川氏は、その初の該当者となったわけだ。
この決定を受け、2人は次のようなコメントを残している。
-----
『引退時、すべて3けたに乗せた“トリプル100”を「中途半端な数字」と自虐的に話したが、名球会が中途半端ではないと太鼓判を押してくれたことが何よりうれしい』
~『Yahoo!ニュース個人』上原浩治本人の寄稿記事(2022年12月10日配信)より
-----
『僕の現役時代の美学は粉骨砕身で目の前の相手を倒すこと。数字を追いかけてこなかったから、逆に数字じゃないところで認めてもらえたのかな。感謝、感謝です』
~『サンスポ』2022年12月9日配信記事 より(藤川球児の言葉)
-----
今回の特例入会について、名球会の新理事長に就任した古田敦也氏は「大谷君が100勝1000本打ったら2000本より価値があると思う」として、さらにこんな見解を示している。
-----
『野球スタイルも変わってきて、特に投手は先発やったり中継ぎやったり抑えやったり、1年で60試合投げたらすごいと言われているのを10年以上続けている選手がいたり。数字だけでは計り知れない人も出てきましたから、もうちょっと柔軟に対応しようということで』
~『スポーツ報知』2022年12月9日配信記事 より(古田敦也理事長の言葉)
-----
この発言、そして「柔軟な対応」という意向には大賛成だ。メジャーリーグが「大谷ルール」をつくって二刀流の可能性を広げたように、時代に合わせて「柔軟な対応」をしていかなければ、野球界はますます他のエンターテイメントにその座を奪われかねない。そのためにも、ファンを魅了した選手の功績を後世に伝えていくことは大きな意義があるはずだ。
そもそも、「打者は日米通算2000安打以上、投手は200勝以上もしくは250セーブ以上」というこれまでの規定が、野球という競技の持つ多様性を反映しきれていないのではないか。“特例入会”の上原氏自身、こんなコメントを残している。
-----
『名球会には通算500本塁打など新たな基準を作って明確化してほしいという思いもある。入会資格を満たす一流選手の基準を下げるのではなく、一流選手の幅を広げる発想である』
~『Yahoo!ニュース個人』上原浩治本人の寄稿記事(2022年12月10日配信)より
-----
その一例として、歴代最多380ホールドをマークする日本ハムの宮西尚生の名を挙げ、
-----
『400に到達すれば、セットアッパーとして、名球会の名に恥じない数字になる』
~『Yahoo!ニュース個人』上原浩治本人の寄稿記事(2022年12月10日配信)より
-----
……と私見を述べている。
そこで本稿では、こうした「名球会にふさわしい記録」を他にもピックアップし、後世に名を残すべき野球人を改めて検証したい。
まず、上原氏も挙げた「本塁打」について。上原氏の提言する「500本塁打」は歴代達成者8人が全員2000本安打をクリアしているために規定になっていないのだろうが、これは「400本塁打以上」としても十分に格を保てるはず。むしろ、過去に54人が達成した2000安打に対して、「400本塁打」はわずか20人という希少性を重視したい。
この「400本塁打」達成者のうち、「2000安打」に到達していないため名球会入りしていないのは……
-----
・田淵幸一[474本塁打、1532安打](元阪神、西武)
・T.ローズ[464本塁打、1792安打](元近鉄、巨人、オリックス)
・山﨑武司[403本塁打、1834安打](元中日、楽天)
-----
そして現役選手では、
-----
・中村剛也[454本塁打、1698安打](西武)
-----
……が該当者となる。
同じ「400」という数字であれば、「通算400盗塁以上」も過去にたった7人しか達成できていない偉大な記録だ。400盗塁以上で2000安打に到達していないのは……
-----
・木塚忠助[479盗塁、1216安打](元南海、近鉄)
・高橋慶彦[477盗塁、1826安打](元広島、ロッテ、阪神)
・金山次郎[456盗塁、1281安打](元松竹、広島ほか)
・大石大二郎[415盗塁、1824安打](元近鉄)
-----
同じく、過去に3人しかいない「通算400犠打」も考察したい。400犠打以上で2000安打を放ったのは宮本慎也[408犠打、2133安打](元ヤクルト)のみ。他の2人は……
-----
・川相昌弘[533犠打、1199安打](元巨人、中日)
・平野 謙[451犠打、1551安打](元中日、西武、ロッテ)
-----
現役選手ではソフトバンクの今宮健太[346犠打、1141安打]、広島の菊池涼介[328犠打、1477安打]の2人しか狙えそうにない難しい記録だけに、もっと光を当てたい。
打者の華が「本塁打」なら、投手の華は「奪三振」。過去に22人しか達成できていない「通算2000奪三振」も名球会にふさわしい記録ではないか。2000奪三振以上で200勝に到達していないのは……
-----
・石井一久[2550奪三振、182勝 ※ともに日米通算](元ヤクルト、西武ほか)
・三浦大輔[2481奪三振、172勝](元横浜)
・小野正一[2244奪三振、184勝](元大洋、中日、ほか)
・杉内俊哉[2156奪三振、142勝](元ソフトバンク、巨人)
・槙原寛己[2111奪三振、159勝](元巨人)
・川口和久[2092奪三振、139勝](元広島、巨人)
・西口文也[2082奪三振、182勝](元西武)
・星野伸之[2041奪三振、176勝](元オリックス、阪神)
・松岡 弘[2008奪三振、191勝](元ヤクルト)
-----
松岡氏は、200勝にあとわずか9勝届かず、ということでよく話題になる人物。2000奪三振も加味して、名球会入りしてしかるべき野球人ではないか。また、現役選手では楽天の岸孝之[1996奪三振、149勝]、中日に移籍した涌井秀章[1909奪三振、154勝]が射程圏といえる。
ここで挙げた記録以外にも、名球会にふさわしい偉大な記録はまだあるかも知れない。他の競技に比べても記録をめぐる話題が多いだけに、ファンも球界OBも納得できる「柔軟な対応」を期待したい。