昨季は「8回」に苦しんだ巨人
1月16日、巨人は昨季限りでDeNAから自由契約となっていた三上朋也と育成選手契約を締結したことを発表した。
三上は2016年から3年連続で25ホールド以上を挙げるなど、通算346試合の登板で10勝15敗23セーブ・114ホールド、防御率3.15という実績を持つ右腕。通算114ホールドは現役11位の記録であり、新天地・巨人に入るとたちまちチームトップに躍り出る数字である。
今年4月に34歳となるが、これは菅野智之や丸佳浩、中田翔といった主力と同学年。まだまだ復活できるチャンスはあるはずだ。
特に巨人は投手陣の運用に苦しみ、昨季はルーキーの大勢が守護神の座を射止めたものの、そこにつなぐセットアッパーを確立することができないままシーズンを終えた。
イニング別の失点を見ても、最多は「8回」の78失点。チーム防御率3.69はセ・リーグのみならずパ・リーグを含めた12球団で見てもワーストという成績であり、Bクラスから上位浮上を目指していくうえで投手陣の再建、なかでもブルペンの再構築というのは必須事項といえる。
昨季21ホールドの平内龍太はオフに右肘の手術
現時点で巨人の支配下登録人数は60人に満たず、70人の上限までは10人以上もの空きがある。春季キャンプとオープン戦で結果を残すことができれば、三上も開幕前に支配下登録されるチャンスは十分ある。
昨季の巨人におけるホールド数トップ3を振り返ってみると、チーム最多の25ホールドをマークした高梨雄平は防御率2.14と結果を残した。
しかし、21ホールドを挙げた今村信貴は防御率3.57とやや苦しみ、13ホールドの平内龍太も防御率は4.32、さらに同じく13ホールドの鍬原拓也も防御率5.16と打ち込まれている。勝ちパターンの投手としてはかなり物足りない数字だ。
加えて、昨季終盤戦で8回のポジションを手中に収めつつあった平内は、このオフに右肘の手術を受けて育成契約となっている。すでにキャッチボールを行っているというが、開幕までに支配下復帰ができるかどうかは不透明な状況となっている。
リリーフ候補として獲得した最速160キロ右腕のヨアン・ロペスもすぐに日本の野球に適応することができるかどうかは未知数で、過度な期待は禁物。こうした状況を鑑みれば、勝ちパターンを任せられそうな投手は喉から手が出るほどほしい。
昨季の三上は勝ち負けやセーブ、ホールドもなかったものの、19試合の登板で0勝0敗、防御率も3.65と自由契約となった選手としては悪くない。
また、対戦打者に対する奪三振と与四球のと与四球の割合差を表すK-BB%は「10.4%」を記録。これは平内(12.2%)には劣るも、鍬原(9.3%)や今村(5.3%)を上回っていた。
リリーフとして重要な「三振を奪い、四球を与えない」能力を示していることからも、コンディションさえよければ三上が巨人のブルペン陣に食い込んできても不思議はない。
新天地で復活を果たし、チームの救世主となれるか。巨人・三上朋也の新たな戦いに注目だ。
文=BASEBALLKING編集部