話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、プロ野球タイ記録となる「デビューから10試合連続安打」を達成するなど活躍が続く北海道日本ハムファイターズの“ルーキー”、アメリカ育ちの加藤豪将にまつわるエピソードを紹介する。
日本人はなにかと「逆輸入」に弱い。プロ野球でいま、話題の「逆輸入」と言えば、北海道日本ハムファイターズで快進撃を見せる「逆輸入ルーキー」、加藤豪将だ。
もともとは2013年にヤンキースからドラフト指名を受けて入団。その後、計5球団でのマイナー暮らしを続けた末、10年目の昨季(2022年)、ブルージェイズでメジャー初昇格。それでもなかなか結果を残せず、昨秋のNPBドラフト会議で日本ハムから3位指名を受け、“日本進出”を決断した。
キャンプ直前のケガで出遅れていたなか、5月25日に1軍初昇格を果たすと、そこからヒットが止まらずに「デビューから10試合連続安打」をマーク。1950年の伊藤利夫(近鉄)以来、史上2人目の快挙となった。
11試合目はノーヒットに終わってしまったが、打出の小槌状態だった期間をこう振り返った加藤。規定打席には達していないが、打率.364、4本塁打(6月12日時点)と堂々の成績を残している。
そんな加藤の「道具へのこだわり・狙い」を見ていくと、アメリカ育ちと言えども日本的な“粋”を感じることができて、実に興味深い。
例えば、いまや加藤のトレードマークとなっている「ピンクのバッティンググローブ」について。ヒットが続くことからデビュー以降、験担ぎで着用し続けたところ、「あまりの臭いで集中できない。早く記録が止まって欲しい」というジョークまで飛び出して話題を集めた。実際、臭いに耐えきれずに1度洗ったところ、その2試合目に記録が止まったのだから、やはり験担ぎは大事だったのかも知れないが……。
さて、このピンクのバッティンググローブはアメリカ時代に着用していたわけではなく、日本ハムに入団が決まって新たにつけるようになったもの。その理由が何とも“粋”なのだ。
というのも、日本ハムで「ピンク」と言えば、日米通算1507安打を放った球団レジェンド、田中賢介氏が現役時代にテーマカラーとしていた色。その田中がつけていた「背番号3」を継承するにあたって、ピンクのテーマカラーも継承を決めたのだ。
これだけでもグッとくる理由だが、ピンク着用にはもう1つの狙いがあると言う。
むしろ、この理由を聞いて、加藤を応援したくなったファンもいるはずだ。
そして、こだわりの道具はグラブも。シーズンごとに新しいグラブを卸す選手も当たり前のプロ野球で、加藤は同じグラブを9年、修理・手入れしながら愛用し続けているという。
奇しくも、加藤豪将のドラフト指名を熱望した新庄剛志監督も、現役時代は1つのグラブを使い続けたことで有名だ。同じ道具管理の趣向を持つことも、通じ合えた理由の1つなのかも知れない。
そして、このグラブで守るセカンド守備も、加藤自身がこだわりを持つプレー。だからこそ、自らのミスで失点につながってしまうと猛省ぶりが凄まじい。デビューから5試合目、初失策を喫した試合では、先発の加藤貴之に向けてこんな「謝罪」を口にしていた。
プレーだけでなく、こうした言動でもファン真理をくすぐり続けてくれる加藤。逆輸入どころか、とことん日本的なルーキーとして、ますます人気を集めそうな予感だ。
日本人はなにかと「逆輸入」に弱い。プロ野球でいま、話題の「逆輸入」と言えば、北海道日本ハムファイターズで快進撃を見せる「逆輸入ルーキー」、加藤豪将だ。
もともとは2013年にヤンキースからドラフト指名を受けて入団。その後、計5球団でのマイナー暮らしを続けた末、10年目の昨季(2022年)、ブルージェイズでメジャー初昇格。それでもなかなか結果を残せず、昨秋のNPBドラフト会議で日本ハムから3位指名を受け、“日本進出”を決断した。
『どのカテゴリーでも、自分を高めることが野球を続けている意味。日本人である自分が、日本の野球を学ぶことで、どこまで高めることができるか楽しみになった』
~『週刊ベースボールONLINE』2022年11月11日配信記事 より
キャンプ直前のケガで出遅れていたなか、5月25日に1軍初昇格を果たすと、そこからヒットが止まらずに「デビューから10試合連続安打」をマーク。1950年の伊藤利夫(近鉄)以来、史上2人目の快挙となった。
『10年ぐらい早く死ぬかなと思うくらい、すごい疲れた。めちゃくちゃ集中してストレスがたまったけど、こういう打席が大好き。野球をやっていて良かったと思う』
~『日刊スポーツ』2023年6月7日配信記事 より
11試合目はノーヒットに終わってしまったが、打出の小槌状態だった期間をこう振り返った加藤。規定打席には達していないが、打率.364、4本塁打(6月12日時点)と堂々の成績を残している。
そんな加藤の「道具へのこだわり・狙い」を見ていくと、アメリカ育ちと言えども日本的な“粋”を感じることができて、実に興味深い。
例えば、いまや加藤のトレードマークとなっている「ピンクのバッティンググローブ」について。ヒットが続くことからデビュー以降、験担ぎで着用し続けたところ、「あまりの臭いで集中できない。早く記録が止まって欲しい」というジョークまで飛び出して話題を集めた。実際、臭いに耐えきれずに1度洗ったところ、その2試合目に記録が止まったのだから、やはり験担ぎは大事だったのかも知れないが……。
さて、このピンクのバッティンググローブはアメリカ時代に着用していたわけではなく、日本ハムに入団が決まって新たにつけるようになったもの。その理由が何とも“粋”なのだ。
というのも、日本ハムで「ピンク」と言えば、日米通算1507安打を放った球団レジェンド、田中賢介氏が現役時代にテーマカラーとしていた色。その田中がつけていた「背番号3」を継承するにあたって、ピンクのテーマカラーも継承を決めたのだ。
『(背番号)3番を付けているので、同じくアメリカと日本でプレーした3番の田中賢介さんのことを思いながら』
~『日刊スポーツ』2023年6月2日配信記事 より
これだけでもグッとくる理由だが、ピンク着用にはもう1つの狙いがあると言う。
『アメリカだと女性のスタッフだったりが、すごく多い。僕はアメリカで人種差別がある中で野球をずっとやってきて、マイノリティーの気持ちが分かる。(球界ではマイノリティーの)女性の気持ちを思いながら応援したいという気持ちで』
~『日刊スポーツ』2023年6月2日配信記事 より
むしろ、この理由を聞いて、加藤を応援したくなったファンもいるはずだ。
そして、こだわりの道具はグラブも。シーズンごとに新しいグラブを卸す選手も当たり前のプロ野球で、加藤は同じグラブを9年、修理・手入れしながら愛用し続けているという。
奇しくも、加藤豪将のドラフト指名を熱望した新庄剛志監督も、現役時代は1つのグラブを使い続けたことで有名だ。同じ道具管理の趣向を持つことも、通じ合えた理由の1つなのかも知れない。
そして、このグラブで守るセカンド守備も、加藤自身がこだわりを持つプレー。だからこそ、自らのミスで失点につながってしまうと猛省ぶりが凄まじい。デビューから5試合目、初失策を喫した試合では、先発の加藤貴之に向けてこんな「謝罪」を口にしていた。
『アメリカでは守備がうまいという評価で2021年には138試合エラー無しという記録もあった。でも今日は…。守備って(先発の)加藤さんの記録になるし、記録になると来年の契約になる。家族にも影響にもなる。僕はそこまでプライドを持って守備をしている。今日は負けと同じでそこが悔しいです』
~『スポーツ報知』2023年6月1日配信記事 より
プレーだけでなく、こうした言動でもファン真理をくすぐり続けてくれる加藤。逆輸入どころか、とことん日本的なルーキーとして、ますます人気を集めそうな予感だ。