種市シーズン自己最多の9勝目
中5日で先発したロッテの種市篤暉は10日のオリックス戦、7回・95球を投げ、4安打、7奪三振、3与四死球、0失点で、シーズン自己最多となる9勝目を手にした。
首位・オリックスとの“首位攻防3連戦”は2戦目を終えてロッテが2連敗。首位・オリックスとのゲーム差は今季最大の7に広げられていた。チームも4連敗中と苦しい戦いが続く中、中5日でのマウンドとなった種市は初回をテンポ良く11球で三者凡退に抑える。
2回は一死一、二塁と得点圏に走者を背負ったが、セデーニョに粘られながらも11球目の138キロのストライクゾーンからストライクゾーンのフォークで空振り三振、続く野口智哉には1ボール2ストライクから149キロストレートで見逃し三振で、ピンチを脱した。
0-0の3回にブロッソ―の2ランで先制点をもらった種市は4回、5回は危なげない投球でスコアボードに0を刻む。特に8番から始まる5回は140キロ台前半のツーシームで内野ゴロに打たせ、わずか5球にまとめた。
6回、7回は先頭打者に安打を許したが、6回は苦手にしている頓宮裕真を遊ゴロ併殺、7回はセデーニョを2打席追い込んでからフォークで打ち取っていたが、2ストライクから147キロのストレートで見逃し三振、野口を投ゴロ、若月を遊ゴロに打ち取った。
チームが4連敗中全て先制点を許す展開だった中で、種市は2回のピンチを0で切り抜け、2回に30球を要したが3回以降は全てのイニング20球以内にまとめるなど、修正力の高さが光った。
柿沼が見た種市
その種市の投球を支えているのが、柿沼友哉捕手だ。
柿沼と種市といえば、2019年に“柿の種バッテリー”で話題を呼び、18年との違いにイチ早く気が付いたのも柿沼だった。19年1月26日にロッテ浦和球場で行った自主トレで、ブルペンに入った種市の球を受けた柿沼は「種市も千賀さんと(自主トレを)やってきて、ブルペンで色んな事を意識して投げているのを感じましたね。クイックが速くなっていたり、ボールの強さもそうですけど、レベルアップしているように感じました。(制球も)まとまっていますよ。すごくよかった。もともと動くようなストレートの感じのピッチャーだったんですけど、あまり動かずに強さがさらに増しているように感じましたね。結構楽しみです」と太鼓判を押し、同年種市はプロ初勝利を含む8勝をマーク。
プロ初完封勝利を挙げた20年7月25日の西武戦でもバッテリーを組んだ。今季も7月1日の楽天戦から種市が先発した6試合全てスタメンマスクを被り、5勝1敗と好相性を誇る。
柿沼は種市の修正力の高さを評価する。今季初めて公式戦でバッテリーを組んだ7月1日の楽天戦での種市の投球に柿沼は「種市自身、本調子じゃなかったと思うんですけど、その中でお互い話しながら修正できるようにというふうにできたので、そこは良かったと思います」と振り返った。
後半戦が始まる前の7月21日の取材では「先日、お話しした通り修正力を感じますし、7月9日の日本ハム戦、17日の楽天戦と2試合続けて120球近く投げて、17日の楽天戦はコントロール苦しんでいましたけど、ボールの力が落ちているわけではなかったので、投げる体力、球数を投げても自分のボールを投げられるというのを感じました」と、100球を超えても球の勢いが落ちないところに“進化”を感じ取った。
20年9月に種市は右肘のトミー・ジョン手術を受けたが、手術前と手術後で種市の球を受けていて成長した部分、変化した部分はどこにあるのだろうかーー
「もともと手術する前から責任感ではないですけど、投げたときに勝ちたいという気持ちが伝わっていました。それは手術してなお強くなったなと。長いイニングを投げたいというか、自分の責任感、意志は感じていますね」。
種市の良さを引き出すために「種市自身、色々考えて投げられるので、種市の考えを聞きながらお互いにいいものを出せたらなと思っています。引っ張っていくというよりは、しっかり考えられるピッチャーなので、そこはお互い考えを出しながらという感じですね」と会話を重ねている。
チームとしてもリーグ優勝に向けて、これ以上オリックスに離されたくない。種市が投げる試合は全て勝つつもりで戦いたい。
取材・文=岩下雄太