今季2度目の先発
「ファームでやってきたことをしっかり出せるように。万全の状態でやってきたことを出せればなという感じです」。
ロッテの唐川侑己が18時から行われる楽天戦、4月16日の西武戦以来一軍で先発する。
唐川は4月16日の西武戦で登板後、1カ月近く一、二軍で登板がなかったが、5月25日のオイシックス戦で4月16日の西武戦以来の登板を果たすと、6月9日の楽天二軍戦で5回・85球を投げ1失点、6月17日のオイシックス戦が5回・57球を投げ無失点、6月25日の楽天二軍戦が5回・91球を投げ4失点、7月3日の巨人二軍戦が7回・今季最多となる117球を投げて2失点、7月13日のヤクルト二軍戦が7回・79球を投げ無失点と、6月9日の楽天二軍戦以降5試合に先発し全て5イニング以上投げ、少ない球数で長いイニングを投げている。
「ファームでもストライク先行でいけている時はいいピッチングができている。やってきたことしか出せないと思うので、それを目指してやりたいなと思います」。
唐川の好調のバロメーターは少ない球数で抑えることと、フライアウトが多い時。唐川が目指すフライアウトは「ちょっと高く上がるポップフライ。バッターがとらえたと思ってフライアウトになるのが一番」とのことだ。
カットボール
唐川の最大の武器である“カットボール”がファームでの期間中でさらに進化した。
唐川が投げるカットボールはストレートとの球速差がなく、とても見分けがつきにくいボールだが、現在は130キロ台前半のカットボールを投げたかと思えば、140キロ台後半のカットボールを投げるなど球速差を出している。
その理由について訊くと、唐川は「長いイニングを投げる中で強弱をつけている感じですね。カウントを取る時は遅くなるし、決めに行く時は速くなるし場面によってですね」と説明した。
カットボールの精度がよく、7月3日巨人二軍戦で2-1の5回先頭の山瀬慎之助を1ボール2ストライクから外角見逃し三振に仕留めた144キロカットボール、7月13日のヤクルト二軍戦で0-0の2回一死走者なしで川端慎吾を投ゴロに仕留めたインコース145キロカットボールは素晴らしかった。
同日のヤクルト二軍戦、2-0の7回先頭の太田賢吾に2ストライクから外角見逃し三振に仕留めたカットボールも、「決まったところにしっかり投げられたのは良かったと思います」とかなり良い球だった。
6月17日のオイシックス戦、「ちょっとボール気味ですけど」と唐川本人が振り返ったが、0-0の初回二死一塁で陽岱鋼を3ボール2ストライクから6球目のインコース143キロカットボール見逃し三振も良かった。
また、6月25日の楽天二軍戦、2-4の5回二死走者なしで、黒川史陽の初球、映像では150キロを計測したが、唐川本人に確認すると、「150も出てなかったです。あれもカットですね」と明かした。
ファームでは唐川最大の武器であるカットボールが抜群の威力を誇った。
割合を減らしたストレート
先発に再転向後はストレートの割合を増やしていたが、ここ最近の登板を見るとストレートの割合が減ったように見える。本人も「ストレートの割合はいっときに比べたら少ないかもしれないですね」とのことだ。
ストレートとカットボールの見分け方について、投げ終わった後、左脇腹に右腕がつくような時がストレートか確認すると「リリースの感覚が違うので必然的にそうなっている感じですね」と教えてくれた。
チェンジアップ
チェンジアップも、7月13日のヤクルト二軍戦、0-0の2回二死走者なしで橋本星哉に投じた初球のチェンジアップは136キロを計測。チェンジアップのスピードも上がった。
「速い時はありますね。もうちょっと球速を落としたいんですけど、どうしてもコントロールしたいとか、リリースの時に指が残っちゃうとちょっと速くなっちゃうかなという感じですね」。
チェンジアップとともに落ち球で投げているスプリットも「たまに投げています」と消したわけではない。
ファームでは安定した投球を見せ、満を持して今季2度目の先発マウンドへ上がる唐川。今夜どんな投球を見せてくれるか非常に楽しみだ。
取材・文=岩下雄太