サブロー二軍監督と相談し試した打撃を継続
ロッテの田村龍弘はシーズンの打率は.226だが、故障から一軍復帰した6月5日後の打率は.265(68-18)、11打点、8月の月間打率は.310と守備だけでなく、打撃でも貢献している。
今季シーズン序盤はバットを担ぎ気味のフォームで打っていたが、一軍に復帰してからは打撃フォームを変えたように見える。田村は、6月19日の取材で「二軍で怪我をした時にサブロー監督と相談しながら、いろいろ試してちょっとこれって、しっくりくるのがあったので、調子戻って結果が出てきた。それは継続してやりたいなという感じですね」と説明した。
その言葉通り、7月10日の楽天戦では初回に「満塁だったのでゲッツーだけは避けよう、犠牲フライで1点、そこからもう一度チャンスを作ることが出来ればいいやぐらいの気持ちで行きました。甘く入ってきたので、上手くとらえる事が出来ました」と2点適時二塁打を放つと、4回の第3打席では「3回満塁のチャンスがあって、前の打席は三振に終わっていたので、何とか打ちたかった」と3点適時二塁打。同日の楽天戦は3安打6打点の大暴れ。8月もスタメン出場した10試合中6試合で安打を放ち、3試合で複数安打をマークした。
田村は現在もサブロー二軍監督と相談した打撃を「継続していますよ、いい感じです。ファームでやっていて、ちょっとずつ結果がついてきているので、変える必要がないのかなと思います」と“継続”して取り組む。
レフト方向に引っ張った打球
これまでの田村の打撃といえば、センターから逆方向の打球が多かったが、今季はこれまでに比べて引っ張った打球が多い。
「そうですね、ヒット方向は引っ張りによっていますけど、それはいいんじゃないですかね」。
引っ張った打球が増えた理由について田村は「反対方向を意識したらファウルが多くなるので、若いカウントは引っ張るくらいのイメージで行っています」と教えてくれた。
もちろん、進塁打が必要な場面はこれまでと同じように、反対方向に走者を進める打撃を行う。状況と場面に応じて引っ張りと逆方向を使い分けている。
西野、カイケルを支える
守備面では西野勇士、カイケル、石川歩が先発した時にスタメンマスクを被る。
田村は投手の良さを引き出すために「相手を知る前に己のピッチャーを知らないといけないと思うので、自分の受けるピッチャーのことを勉強することが大事かなと思います」と話す。
その中で、西野は交流戦前の取材などでストレートに課題があることを何度も口にしていたが、その日その日で良い球を見つけて抑えていき、6月25日の楽天戦から7月26日の楽天戦にかけて4連勝。
西野は「タム(田村)が受けて感じて選んでくれているので、そういう意味ではタムに感謝したいと思います」と口にした。
田村が西野の良さを引き出したことが、西野の好投に関係していたのだろうかーー。
田村は「あんまり関係ないと思いますけど」としながらも、「10年以上バッテリーを組んでいるので、“これがダメならこれ”、“これがダメならこれ”という引き出しは持っているつもりなので、それがうまくはまっているだけかなと思っています」と明かした。
西野はイニング間に田村とコミュニケーションを取ったりは「そんなにしないですね」と話していたが、どのようにして田村は西野の良さを引き出しているのだろうかーー。
「ブルペンから初回受けた感じで、“今日これダメだな”、“これがいいな”というのをわかったら、それにすぐシフトチェンジしています」。
それは西野に関係なく、他の投手も同じなのだろうかーー。
「基本カイケル、西野さん、石川さんなんで、いろんな球を使うピッチャーと組んでいる。これがダメという日はあると思うので、これがダメならこれにしようとか、そうやっていかないといけないピッチャーと組んでいますね」。
CS出場へ負けられない戦いが続く。田村は「出る試合は限られているので、出た試合で結果を出す、チームを勝たせるようなプレーができたらいいなと思います」と決意を述べた。
取材・文=岩下雄太