打てる捕手
ロッテのドラフト5位・寺地隆成(明徳義塾高)は高卒ルーキーでありながら、18日終了時点でイースタン・リーグ2位の打率.298、同3位の94安打、出塁率.376と新人離れした打撃力を見せる。
寺地の凄さは月間打率.359(39-14)の5月から6月は月間打率.224(49-11)と数字を落としながらも、7月の月間打率.356(59-21)、8月の月間打率.385(52-20)と夏場にかけて盛り返したところ。
その要因について寺地は「キャッチャーの方でなかなか結果が出ずにいたので、なんとかバッティングで取り返せるように、なんとしてもバッターの方でチームに貢献したい気持ちがあったからこそ打てたのかなという感じはします」と説明した。
ファームの投手に慣れてきたことも関係しているのだろうかーー。
「少しずつストレートにも対応できているんじゃないかなと思いますし、浮いた変化球も少しずつですけど、合わせられるようになってきたので、少しは慣れてきたのかなというのは自分の中で感じはしますね」。
4月30日の取材で「調子に波があるような気もするので、そこをまずは克服していかないと。今の課題である波をどのように克服していくかが一番の課題点というか、そういう部分なので、そこをしっかり克服して頑張っていきたい」と話していたが、調子の波もシーズンが進むにつれて小さくなった印象。
寺地は調子の波についても「春先に比べて、7月、8月は調子の波が少なかったんじゃないかなと思います。試合の中で調子が悪かったとしても、なんとかしようと。工夫を重ねて1本でも多く打てたりという時期があった中で、ここ最近波が激しくなってきたと思います。そこをしっかり詰めてやっていけたらなと思います」と冷静に話した。
工夫を重ねてと言うところでは、9月6日のDeNA二軍戦では左の濵口遥大に対して、足の上げ方が小さめのフォームで打ち、0-2の5回二死二塁の第3打席、2ボール2ストライクから8球目のチェンジアップをうまく合わせてライト前に適時打を放った。そういった部分も工夫に入ってくるのだろうかーー。
「結構刺されるという感じがあったので、タイミングもそうですけど、足を上げるタイミングを小さくして自分の中でピッチャーに対してタイミングを取れるように頑張ったのかなと思います」。
また、8月22日の西武二軍戦で、與座海人が投じた外角低めのボール気味のカーブをうまくバットに合わせて片手一本でレフト前に安打にするなど、センターから逆方向の打撃も良い。そこは調子のバロメーターとして見て良いのだろうかーー。
「そうですね、センターから左方向に強い打球が打てるのが自分の長所だと思っているので、それが打てないと、魅力は感じられないと思うので、引き続き伸ばしていけるようにやっていきたいと思います」。
寮に帰ってから守備の振り返り
守備面では捕手としての経験値を積んでいる。
「少しずつですけど失点数も減ってきたのかなと自分の中でも感じているので、これからもっともっと勉強を重ねていく中でリード面、ブロッキング、スローイングをレベルアップしていければなと思います」。
寮に帰ってからも「まずは自分の出場した二軍の試合の振り返りをして、余裕がある時、時間がある時にしっかり一軍の試合を見て、そこも勉強だと思うのでやっていますね」と、試合の振り返りを行う。
振り返りの中でのチェックポイントについて寺地は「失点した場面、なんでここは三振に抑えられたんだろうというところを重点的に、あとは自分の守備ですかね、ブロッキング、ここ足が動いていなかったなとか、スローイングでも体が突っ込んでいるなとか動画で見て振り返っていますね」と、自身の打撃よりも守備での反省を行う時間が長いという。
捕手を主戦場にしている中で、9月11日の日本ハム二軍戦では三塁でスタメン出場した。ファームでは三塁の守備も並行して行っているのだろうかーー。「(サードの)練習は特にしていないですね」とのことで、「僕の中では基本ずっとキャッチャーでやっていくと決めているので」と現時点では捕手1本で勝負していく考えだ。
将来的には“打てる捕手”としての活躍が期待される。打てる捕手としての目安は寺地自身の中で「3割を超えていくような選手だと思っているので、そこを目指しながら打てる捕手を目指していければなと思います」と意気込んだ。
「自分の中で今年の目標は一軍出場と掲げています。打撃の調子を落としていくと上がれないのかなと言う感じがするので、18日のようなバッティングを今月ずっと続けられるように、調子を落とさずやっていけるように頑張りたいと思います」。今季中の一軍昇格を目指し、攻守に技術を磨いていく。
取材・文=岩下雄太