2024年の戦いを終える
2024年の千葉ロッテマリーンズの戦いが終わった。
2位・日本ハムとの『2024 パーソル クライマックスシリーズパ』ファーストステージ第3戦は、2回に友杉篤輝のセーフティスクイズ、一死満塁から荻野貴司の犠飛で2点を先制したが、3回に先発・種市篤暉が清宮幸太郎に2点適時打を浴び同点に追いつかれる。
種市は4回から3イニング連続で日本ハム打線を三者凡退に抑え、流れを渡さない。種市の調子が上がってきたところで早く勝ち越し点を奪いたい打線だったが、日本ハム投手陣を捉えることができなかった。
すると、2-2の7回に種市がこの回先頭の万波中正に四球を与え、続く郡司裕也の送りバントをピッチャー・種市が二塁へ悪送球で無死一、二塁。上川畑大悟のキャッチャー前のバントを捕手・佐藤都志也が素早く処理し、三塁でアウトにすると、打者走者の上川畑もアウトにし二死二塁とする。ここを踏ん張りたい種市だったが、田宮裕涼に2球で追い込みながらも力み最後は四球でピンチを広げると、水野に対しても2球で追い込むも3ボール2ストライクから投じた6球目のインコース153キロストレートを右中間に弾き返され万事休す。
8回に登板した横山陸人も失点し、打線も8回、9回と2イニング連続3人で片付けられ、2-5で敗れた。
チームとしての課題
今季の戦いを振り返ると、長年の課題であるチームとしての好不調の波を克服することができなかった。
4月19日の日本ハム戦から4月27日の楽天戦にかけて7連敗、5月14日のオリックス戦から6月1日の阪神戦にかけて15試合連続負けなしでチーム状態を上向いたかと思ったが、交流戦は7勝9敗2分の負け越し。7月は再び13勝9敗と勝ち越し、8月に入ってからは11日のオリックス戦後、13日の日本ハム戦後に今季最多の貯金12としたが、18日のソフトバンク戦から23日のオリックス戦にかけて5連敗。8月はリーグ優勝したソフトバンクと8試合、2位・日本ハムと6試合組まれたが、ソフトバンク戦が3勝5敗、日本ハム戦が1勝5敗とこの2球団に4勝10敗と負け越したことが、8月の月間12勝15敗の負け越しにダイレクトに反映された。
9月は大きく勝ち越している西武、楽天、オリックスといった下位球団との対戦となったが、9月は10勝10敗と大きな貯金を作れず。最後は2位争いどころか3位争いに巻き込まれ、最終的には3位を死守し2年連続CS進出を決めたが、夏場以降の戦い、チームとしての好不調というところに課題を残した。
若手、中堅の成長も…
選手個人個人を見ると、野手では佐藤都志也が初めて規定打席に到達し11月に行われるWBSCプレミア12の日本代表に選出され、2年ぶりに一軍出場した髙部瑛斗はシーズン最終盤に故障で離脱したものの、7月に月間MVPを獲得するなど打率.300をマークし、藤原恭大も追い込まれてからのノーステップ打法が功を奏して好不調の波が小さくなり打率.290、小川龍成もセンターから反対方向に打つ打撃技術をモノにし打席数、出場機会を増やした。
打線においては絶対的な核となる長距離砲を今季も外国人に頼るしかなかった。レアード、マーティンが在籍中に若手の長距離砲が経験を積んでおり、本来であれば今頃、ソト、ポランコ共に打線を引っ張らなければならない立場にあったが、今季も期待の若手のままで終わってしまった。ベテラン選手だけでなく、若手、中堅も皆1つずつ年齢を重ねていく。来年こそ、1人でも長距離砲が一軍で躍動する姿を見たい。
投手陣は高卒5年目の佐々木朗希が自身初の2桁10勝を挙げ、鈴木昭汰、横山はシーズン通して安定した投球で勝ちパターンで投げ、共に11月に行われるWBSCプレミア12の日本代表に選ばれた。2年目の菊地吏玖はフォークを武器に夏場以降に一軍に定着しクライマックスシリーズでの登板も経験した。
投手も野手も若手、中堅が育っていないようで育っている、育っているようで育っていないというのが現状。昨年活躍した選手たちが今季は成績を落とし、2年連続で活躍している選手が小島、種市ぐらいしか見当たらない。その小島も来年で29歳、種市も27歳と中堅の年齢にあたる。若手の底上げ、成長に加えて、継続的な働きは必要不可欠。
直近5年で4度のAクラスとチーム力は着実につけている。ただ、マリーンズファンも、2位や3位で満足できなくなっているのも事実。来年こそリーグ優勝からの日本一。チームの好不調の波を小さくし、若手、中堅選手が2年連続で活躍した上で、新しい若手が台頭する。そして、ターニングポイントとなるゲームを絶対にモノにする。来年はそんなシーズンになることを強く願う。シーズンは終わったばかりだが、2025年に向けた戦いは始まっている。
文=岩下雄太