「なかなか自分の中で掴めないものが多くて、本当に色々試行錯誤してやったシーズンでした」。
ロッテ・荻野貴司は今季をこう総括した。“掴めない”ものというのは、年齢からくるパフォーマンスという部分なのだろうかーー。
「それが直接関係しているかわからないですけど、今の体にどういうアプローチがいいのか常に探していた感じですね」。
荻野は長年マリーンズのレギュラーとして引っ張ってきたが、今季は80試合中、スタメン出場は39試合と途中からの出場の方がわずかに多かった。
途中出場からもしっかりと結果を残したのは荻野の凄さだ。4月3日のソフトバンク戦では2-1の9回一死一、二塁の場面で、ポランコに代わってレフトのポジションに入ると、イニング途中での出場という難しさはあったが、2-2の9回二死満塁からウォーカーがレフトへ痛烈に放ったあたりを何事もなかったかのようにキャッチ。
イニング途中からの守備での出場に荻野は「緊張します」と振り返り、ベンチから出て照明の明るさなど違ったりもするが、そこも「練習でしっかり確かめながらやっていますね」とのことだった。
この日は延長12回二死一、二塁の第2打席、又吉克樹が投じた初球のスライダーを捉え、左中間を破る決勝の2点適時二塁打。改めて荻野の存在感の高さを示す1日となった。
6月26日の楽天戦では守備から途中出場し、5-2の7回二死三塁で迎えたこの日最初の打席、弓削隼人が1ストライクから投じた外角のストレートを逆らわずにライト前に運ぶ貴重な追加点となる適時打を放ち、続く髙部瑛斗のセンターオーバーの当たりで一塁から俊足を飛ばして、一気にホームインした。
7月7日の西武戦では、5-2の6回無死走者なしの場面で角中勝也の代打で登場し、菅井信也が1ボールからの2球目のストレートを「いいボディーターンができました!」とレフトスタンドへ今季第1号ソロ。
9月8日の楽天戦では、5-3の5回一死一、二塁の場面、角中勝也の代打で登場。弓削が1ボール2ストライクから投じた3球目のフォークをセンター前に弾き返しチャンスを広げると、続くポランコがセンター前に適時打を放った。
6-4の7回無死走者なしの第2打席は、宋家豪が1ボール1ストライクから投じた3球目のスライダーを右中間に放ち、スピードを緩めることなく一気に三塁を陥れ、愛斗の三塁線を破るあたりで7点目のホームを踏んだ。
勢いの止まらない荻野は、9-5の8回二死走者なしの第3打席、渡辺翔太のストレートをレフト前に放ち、途中出場しながら猛打賞を達成した。
途中出場した時の打撃成績は、打率.314(51-16)、1本塁打、5打点だった。「試合の状況を見ながら、自分で裏で動きながら、流れを読みながらやっています」と、自身の出番に備えて準備。
開幕直後の4月6日の取材で途中出場する際、「その試合の状況を見ながら、この辺でありそうかなというのを考えながら裏で準備していますし、展開、展開で今日やったらどの辺でありそうかなというのを考えながら、裏でストレッチ、ウォーミングアップしています」と話していたが、シーズン最終盤となった9月5日の取材で準備の質、途中出場するにあたって自身の中で確立したルーティンなどを訊くと、「なんとなくこういう場面で行くのかなというのはわかっています。怪我しないように怪我予防のストレッチ、ウォーミングアップをしっかりしていますね」と明かした。
途中からの出場が多かったが、スタメンでも存在感を示すのが荻野だ。今季初スタメンとなった3月30日の日本ハム戦で2安打すると、5月18日の日本ハム戦では4安打2打点、5月30日のヤクルト戦でも3安打した。
岡大海が故障で離脱した8月10日以降スタメンでの出場が増え、8月15日の日本ハム戦で3安打、『5番・レフト』で先発出場した9月11日のオリックス戦では不慣れな打順も2安打した。さらに9月14日の西武戦では『6番・レフト』でスタメン出場し3安打。シーズン終盤は慣れ親しんだ1番だけでなく、3番、5番、6番とさまざまな打順を任された。
打順に関して「そこはあまり意識せずに本当に打順関係なしに、その場、その場しっかり仕事をやれるようにやっています」と、その時に求められた役割を果たした。
1番を多く打っていたときは「自分のスイングをすること」、「追い込まれたらしっかり粘って出塁すること」ということを意識していたが、その他の打順での出場となっても、「ランナーがいない時は出塁したいなと思います。1番でも塁が埋まっていればしっかり返せるようにとは思っています」と話した。
9月は出場した14試合中10試合がスタメン出場で、打率は驚異の.447だった。「特に何を変えたというわけではないので、しっかり出たところで仕事ができればなと思っていたので、結果的には良かったですね」。
今季は故障による離脱もあったが、80試合に出場して、打率.279、1本塁打、15打点。ただ、プロ1年目から14年続いていた連続盗塁が今季でストップ。新人時代には46試合で25盗塁をマークするなど、そのスピードに衝撃を与え、21年には自身初となる盗塁王にも輝いたこともある。今季0盗塁に「今の自分の足の脚力がこんなもんやったということだと思います」と冷静に自己分析した。
来年の10月で40歳を迎えるチーム最年長。まだまだ活躍するために「まずは体のコンディショニングをしっかり整えないとプレーにも影響すると思うので、しっかり体の調整をしながらやっていきたい」とし、体の調整で日頃意識していることについては「自分でストレッチ、できることは自分でやって、自分ではできない部分があるので、そこはトレーナーさんに任せて色々相談しながらやっています」と教えてくれた。マリーンズファンは来季も、荻野がグラウンド上で躍動する姿を楽しみにしている。
取材・文=岩下雄太
ロッテ・荻野貴司は今季をこう総括した。“掴めない”ものというのは、年齢からくるパフォーマンスという部分なのだろうかーー。
「それが直接関係しているかわからないですけど、今の体にどういうアプローチがいいのか常に探していた感じですね」。
途中出場がメイン
途中出場からもしっかりと結果を残したのは荻野の凄さだ。4月3日のソフトバンク戦では2-1の9回一死一、二塁の場面で、ポランコに代わってレフトのポジションに入ると、イニング途中での出場という難しさはあったが、2-2の9回二死満塁からウォーカーがレフトへ痛烈に放ったあたりを何事もなかったかのようにキャッチ。
イニング途中からの守備での出場に荻野は「緊張します」と振り返り、ベンチから出て照明の明るさなど違ったりもするが、そこも「練習でしっかり確かめながらやっていますね」とのことだった。
この日は延長12回二死一、二塁の第2打席、又吉克樹が投じた初球のスライダーを捉え、左中間を破る決勝の2点適時二塁打。改めて荻野の存在感の高さを示す1日となった。
6月26日の楽天戦では守備から途中出場し、5-2の7回二死三塁で迎えたこの日最初の打席、弓削隼人が1ストライクから投じた外角のストレートを逆らわずにライト前に運ぶ貴重な追加点となる適時打を放ち、続く髙部瑛斗のセンターオーバーの当たりで一塁から俊足を飛ばして、一気にホームインした。
7月7日の西武戦では、5-2の6回無死走者なしの場面で角中勝也の代打で登場し、菅井信也が1ボールからの2球目のストレートを「いいボディーターンができました!」とレフトスタンドへ今季第1号ソロ。
9月8日の楽天戦では、5-3の5回一死一、二塁の場面、角中勝也の代打で登場。弓削が1ボール2ストライクから投じた3球目のフォークをセンター前に弾き返しチャンスを広げると、続くポランコがセンター前に適時打を放った。
6-4の7回無死走者なしの第2打席は、宋家豪が1ボール1ストライクから投じた3球目のスライダーを右中間に放ち、スピードを緩めることなく一気に三塁を陥れ、愛斗の三塁線を破るあたりで7点目のホームを踏んだ。
勢いの止まらない荻野は、9-5の8回二死走者なしの第3打席、渡辺翔太のストレートをレフト前に放ち、途中出場しながら猛打賞を達成した。
途中出場した時の打撃成績は、打率.314(51-16)、1本塁打、5打点だった。「試合の状況を見ながら、自分で裏で動きながら、流れを読みながらやっています」と、自身の出番に備えて準備。
開幕直後の4月6日の取材で途中出場する際、「その試合の状況を見ながら、この辺でありそうかなというのを考えながら裏で準備していますし、展開、展開で今日やったらどの辺でありそうかなというのを考えながら、裏でストレッチ、ウォーミングアップしています」と話していたが、シーズン最終盤となった9月5日の取材で準備の質、途中出場するにあたって自身の中で確立したルーティンなどを訊くと、「なんとなくこういう場面で行くのかなというのはわかっています。怪我しないように怪我予防のストレッチ、ウォーミングアップをしっかりしていますね」と明かした。
スタメンでも存在感
途中からの出場が多かったが、スタメンでも存在感を示すのが荻野だ。今季初スタメンとなった3月30日の日本ハム戦で2安打すると、5月18日の日本ハム戦では4安打2打点、5月30日のヤクルト戦でも3安打した。
岡大海が故障で離脱した8月10日以降スタメンでの出場が増え、8月15日の日本ハム戦で3安打、『5番・レフト』で先発出場した9月11日のオリックス戦では不慣れな打順も2安打した。さらに9月14日の西武戦では『6番・レフト』でスタメン出場し3安打。シーズン終盤は慣れ親しんだ1番だけでなく、3番、5番、6番とさまざまな打順を任された。
打順に関して「そこはあまり意識せずに本当に打順関係なしに、その場、その場しっかり仕事をやれるようにやっています」と、その時に求められた役割を果たした。
1番を多く打っていたときは「自分のスイングをすること」、「追い込まれたらしっかり粘って出塁すること」ということを意識していたが、その他の打順での出場となっても、「ランナーがいない時は出塁したいなと思います。1番でも塁が埋まっていればしっかり返せるようにとは思っています」と話した。
9月は出場した14試合中10試合がスタメン出場で、打率は驚異の.447だった。「特に何を変えたというわけではないので、しっかり出たところで仕事ができればなと思っていたので、結果的には良かったですね」。
今季は故障による離脱もあったが、80試合に出場して、打率.279、1本塁打、15打点。ただ、プロ1年目から14年続いていた連続盗塁が今季でストップ。新人時代には46試合で25盗塁をマークするなど、そのスピードに衝撃を与え、21年には自身初となる盗塁王にも輝いたこともある。今季0盗塁に「今の自分の足の脚力がこんなもんやったということだと思います」と冷静に自己分析した。
来年の10月で40歳を迎えるチーム最年長。まだまだ活躍するために「まずは体のコンディショニングをしっかり整えないとプレーにも影響すると思うので、しっかり体の調整をしながらやっていきたい」とし、体の調整で日頃意識していることについては「自分でストレッチ、できることは自分でやって、自分ではできない部分があるので、そこはトレーナーさんに任せて色々相談しながらやっています」と教えてくれた。マリーンズファンは来季も、荻野がグラウンド上で躍動する姿を楽しみにしている。
取材・文=岩下雄太