コラム 2018.06.02. 12:00

“新1番”が流れを変える?植田海は虎の起爆剤となるか

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ブレイクの気配漂う高卒4年目・植田海(C)KYODO NEWS IMAGES

 植田の登場でチーム盗塁数が激増


 交流戦に入って4戦全敗と元気のない阪神。特に4試合中2つが完封負けで、いずれも「0-1」「0-2」と投手陣は踏ん張りながらも打線が援護できずに敗れたとあって金本知憲監督も嘆き節が止まらない。

 ここまでの総得点150は12球団ワースト。とにかく貧打、得点力不足に悩むチームをどうにかすべく、指揮官が力を入れているのが“足攻”である。

 現在のチーム盗塁数は30。これはリーグトップのDeNAとは1個差で、中日と並ぶリーグ2位タイの数字だ。例年、盗塁が少ないチームである阪神だが、今季も序盤は異常ともいえるほどのローペース。チーム初盗塁が生まれたのはなんと開幕10試合目、4月11日のことだった。その後もなかなか盗塁は記録されず、20試合を終えてチーム盗塁1という状態だった。

 そんなチームを大きく変えたのが、高卒4年目・植田海の存在である。コンスタントに出場機会を得るようになると、37試合で11個の盗塁を成功。糸井嘉男を抜き去り、一気にチームトップに躍り出た。


俊足に加えて粘りと高い出塁率も魅力


 5月30日のソフトバンク戦でも、植田の足がいきなり得点を生んだ。

 初回、相手先発・石川柊太の厳しい内角責めをことごとくファウルにして粘ると、10球目に四球を選んで出塁。続く糸原健斗の打席ですかさず二盗を試み、高い盗塁阻止率を誇る甲斐拓也に送球すらさせない完璧なスタートで二塁を陥れた。その後、糸原の二ゴロで三進した植田は、福留孝介の犠飛で生還。ノーヒットでの先制劇を生んだ。

 俊足に加え、高い出塁率も植田の魅力だ。初回と同様に先頭で打席に立った5回には、またも粘って9球目に四球を選び出塁。ふたつの内野ゴロの間に三塁に達すると、石川の暴投で一時同点となるホームを踏んだ。ここまで打率は.261も、出塁率は.382と高い数字をキープ。際どい球はカットできる技術があり、ひとたび出塁すれば足でかき回す。まさに先頭打者らしい先頭打者に成長しつつある。

 投手がどれだけ頑張っても、打線が点を取れなければ勝つことはできない。打てない中でも得点を取っていくためには、ひとつでも先の塁を奪いに行く攻撃が必要になる。交流戦に入って苦しい戦いが続くチームであるが、若き韋駄天・植田は低迷する打線の起爆剤となるか。虎の“新1番”に注目だ。


文=清家茂樹(せいけ・しげき)



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