山本と大竹の援護率は12球団ワースト1位、2位
選手の実力だけではなく、「運」にも左右されるのが勝負の世界。とはいえ、あまりに運から見放され過ぎている選手もいる。山本由伸(オリックス)、大竹耕太郎(ソフトバンク)の両投手だ。
ふたりの何が不運かというと、とにかく味方打線が点を取ってくれない。9投球回あたりの味方の得点を意味する「援護率」を見てみると、山本は「1.15」、大竹は「1.70」。これは、規定投球回到達者における12球団ワースト1位と同2位の数字だ。ともに援護率は「2.0」を切っており、勝ち投手になるには1点もあげられないということになる。
ちなみに、パ・リーグの援護率のトップは二木康太(ロッテ)の「6.40」。今井達也(西武)の「6.22」、涌井秀章(ロッテ)の「5.09」と続き、本塁打増加によるロッテの得点力アップを感じさせる結果となっている。有原航平(日本ハム)、美馬学(楽天)の援護率もそろって「5.02」と高い数字だ。
山本、大竹の個人成績は非常に優秀だが……
援護に恵まれない一方で、山本と大竹の成績は非常に優秀。防御率で見れば、大竹は「1.43」でリーグ2位、山本はリーグ4位の「1.57」という好成績を残している。ふたりともに開幕からしっかりと先発ローテーションを守り、ここまですでに7試合に登板。50回を超える投球回を記録している。
1投球回あたりに許した走者の数である「WHIP」でも、山本は「0.79」、大竹は「0.91」と素晴らしい数字を残している。加えて、山本に至っては「.153」という群を抜いて優秀な「被打率」も誇る。にもかかわらず、援護率の低さによって、山本は2勝、大竹はわずか1勝にとどまっている。
山本の直近の先発試合である5月16日のロッテ戦でも味方に挙げてもらった援護は2点のみ。そればかりか、味方野手がエラーを連発し、自責点は「2」ながらも6失点で2敗目を喫してしまった。こうなってくると、さすがに「不運」という言葉だけでは片づけられない。
山本はまだ高卒3年目の20歳。大竹もプロ2年目の23歳と若い投手だ。将来有望な若手投手に大きな自信をつけさせるためにも、そろそろ野手陣の奮起にも期待したい。。
▼ 援護率ワースト1位・2位
大竹(ソ)防御率1.43(援護率1.70)7試合1勝1敗
山本(オ)防御率1.57(援護率1.15)7試合2勝2敗
▼ 援護率トップ3
二木(ロ)防御率3.43(援護率6.40)7試合4勝2敗
今井(西)防御率4.24(援護率6.22)8試合4勝4敗
涌井(ロ)防御率3.14(援護率5.09)7試合3勝1敗
※数字は5月19日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)