意外!? 亀井の規定打席到達は過去2度のみ
37歳になったベテラン・亀井善行(巨人)が元気だ。昨季は2009年以来9年ぶりに規定打席に到達し、チーム内における存在感が再び増している。
これまで、持ち前の勝負強さを生かして数多くのサヨナラ本塁打を放つなど、印象深いシーンをいくつもつくってきた。WBCの日本代表に名を連ねたこともあり、少し意外にも感じられるが、亀井が規定打席に達したのは2009年と昨季のわずか2度だ。
その亀井は、今季も現時点における規定打席をクリアしている。さらに、巨人のなかでは坂本勇人の「.315」、丸佳浩の「.313」に次ぐ打率.300を残すなど、好調を維持。過去、規定打席に達しなかったシーズンも含め、亀井が打率3割の壁を超えたことはない。今季は一時ヒッチを取り入れるなど、ベテランながら変化をいとわない姿勢のなかで「なにか」をつかんだのかもしれない。
プロ入り前から大きな注目を浴びていたわけでもなく、強肩と堅実な守備、勝負強い打撃で、なによりチームのための働きを優先する亀井のようなタイプの選手が、個人記録に執着するようなことはないのかもしれない。ただ、亀井にはいまこそ打率3割という記録にこだわってほしいのだ。
「サポート役」を宣言するもチームに欠かせない主力
昨季オフ、契約更改後の会見で「コツコツと仕事をして、若い人をしっかりサポートしていきたい」と、今季に向けての抱負を語っていた亀井。その亀井がここまで規定打席に達しているということは、チームの若手外野手が伸び悩み、世代交代がうまくいっていないということの裏返しでもある。亀井は若手のサポート役どころか、絶対に欠かすことができない主力選手だ。
また、チームは今季初の5連敗と、明らかに大失速中。交流戦から7月半ばにかけての勢いは消え失せ、直近16試合で3勝13敗と、どんどん貯金を崩している状況だ。現在、2位のDeNAが0.5ゲーム差、3位の広島が2ゲーム差に迫っている。首位ながら状態が良くないチームのなかで、亀井が起用されるのは、切り込み隊長である1番かポイントゲッターの5番がほとんど。チームの勝敗を左右する鍵のひとつを亀井が握っている。
プロ15年目のベテランとしても、シーズン終盤に向かっていくこれからがしんどいところだろう。そのなかでチームの重要なポジションを担う亀井が踏ん張り、「初の規定3割」にこだわっていくことが、結果的に巨人のV奪回を引き寄せることにつながるのではないだろうか。
※数字は8月4日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)