劇的な逆転CS出場を果たした2011年の西武
9月8日、中日がDeNAを破り、9月3日から首位・巨人、2位・DeNAをそれぞれ「3タテ」。4位・阪神に0.5ゲーム差、3位広島に4ゲーム差に迫り、逆転CS出場に望みをつないだ。
9月に入る頃にはペナントレースの大勢が決まっていることも多いが、過去には8月終了時点でBクラスだったチームが最終的に3位以内に食い込んだという例は意外なほど多い。
なかでも、もっともドラマチックといえるのが2011年の西武だろう。この年の西武は8月終了時点で3位・楽天と6ゲーム差の最下位に沈んでいた。しかし、9月に入ると10連勝をマークするなど驚異的な追い上げを見せ、最終的にオリックスを勝率わずか1毛差でかわして3位に滑り込んだ。
CS出場を決めた日本ハムとのシーズン最終戦では、当時39歳の西口文也がシーズン最多140球を投げる8回2失点の熱投を披露。2点リードで迎えた最終回には、当時ルーキーだった牧田和久が前日に3イニングを投げていながら連続登板。無死満塁のピンチを招きつつも1点差で逃げ切るというハラハラさせられる展開も、ファンには印象深いところだろう。
苦手マツダスタジアムで広島攻略なるか
また、その2011年は中日が逆転優勝を果たしたシーズンでもある。8月終了時点の中日はBクラスではなかったが、首位ヤクルトと4ゲーム差、阪神と同率の3位であった。しかし、9月下旬のヤクルトとの4連戦を3勝1敗で勝ち越して勢いに乗ると、シーズン最終盤の10月6日に首位に浮上。劇的な逆転優勝で球団初のリーグ連覇を果たした。
そして、今季の中日がいよいよ正念場を迎える。9月10日から相手本拠地・マツダスタジアムで3位・広島との3連戦に臨む。しかし、今季の中日は対戦成績では8勝12敗と広島をもっとも苦手としているうえに、マツダスタジアムでは1勝も挙げられずここまで7戦全敗といいところなし。球場別の成績を見るとマツダスタジアムでの防御率は「4.84」。加えて、チーム打率も「.184」とセ6球団の本拠地のなかではぶっちぎりのワーストの数字となっている。
ただ、幸いにして巨人とDeNAに連勝した直近6試合のうち4試合で2桁安打を放つなど打線は上向きだ。苦手意識を払拭し、マツダスタジアムで広島にも3連勝をやってのけるようなことがあれば、いよいよ逆転CS出場が現実味を帯びてくる。
近年、低迷を続ける中日が2011年の西武や自球団のようにファンに熱い夢を見せられるか。ペナントの行方はもちろん、過熱するCS出場枠争いからも目が離せない。
※数字は9月8日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)