1.5差内に3チームがひしめく大激戦!
残りわずかとなったプロ野球2019年シーズン。セ・リーグは巨人が5年ぶりのリーグ制覇を果たしたものの、依然として目が離せない戦いが続いている。
クライマックス・シリーズ最後のイスを争う“3位争い”――。現時点では広島が一歩リードしている状況だが、4位・中日との差は1.5ゲーム。5位につける阪神も中日とはゲーム差なし、勝率にしてわずか2毛差という位置につけており、残り数試合となっている今でもどこが勝ち上がってくるか分からない状態になっている。
この9月に入って快進撃を見せているのが中日だ。優勝を争っていた巨人・DeNAに対して6連勝をマークするなど、今月は12勝5敗と絶好調。一時は絶望的かに思われたCS進出も手が届くところまできた。
チームを牽引するのが好調な中軸。ダヤン・ビシエドに福田永将、阿部寿樹の3人は月間打率3割超えの活躍を見せており、なかでも福田は今月だけで18打点を記録。これは20打点のネフタリ・ソトに次ぐリーグ2位の数字だが、ソトは9本の本塁打を放っているのに対し、福田は2本で18打点。勝負強さが際立っている。
この福田が3番に入り、後ろには同じく好調なビシエドが控える9月の恐竜打線。これでは相手投手もかんたんに勝負を避けることはできず、大きな脅威となっているのだ。
小笠原に「左腕エース」の座は渡せない
もちろん、打線の力だけで勝ち進んできたわけではない。投手陣も安定感が増してきた。
リリーフ陣では、ここに来てライデル・マルティネスとジョエリー・ロドリゲスの両助っ人が安定感抜群の投球を披露。特にロドリゲスは6回を投げて奪三振9・与四球0という圧倒的な存在感を放っており、終盤に頼れる投手がふたりもいるのは心強い限りだろう。
さらに、先発陣でもルーキーの梅津晃大や故障から復活した小笠原慎之介といった若手がアピールを見せており、今季だけでなく来年以降にも期待が持てる内容で首脳陣にアピールしている。
また、その若手に負けじとここに来て存在感を放っているのが、復活したかつてのエース・大野雄大だ。
以前は3年連続で2ケタ勝利をマークするなど、ローテーションの柱として君臨していた左腕だが、ここ3年は思うような結果を残すことができず。昨季に至っては6試合の登板で0勝3敗、防御率8.56という大不振に苦しんだ。
それでも、今季は前半戦で14試合に登板して5勝6敗。1つ負け越したものの、全試合で6回以上を投げて試合を作り、そのうえで防御率は3.07と力投。
後半戦に入っても安定した投球は続き、8月以降は6試合すべてで7回以上を投げて3勝2敗。9月14日の阪神戦では自身初となるノーヒットノーランも達成した。
勝ち星こそ柳裕也の11勝には劣っているものの、防御率はチームトップ。ここ数年のうっぷんを晴らすかのような投球でチームを引っ張っている。
平成以降の中日を振り返ってみると、今中慎二に山本昌、野口茂樹、チェン・ウェインと常に左腕エースが君臨していたこともチームのカラーだった。大野も当然その系譜を継ぐ存在だと思われていたが、ここ数年は自身の不調と小笠原の台頭もあり、その候補から外れていた感は否めない。
しかし、今季の大野はまさに崖っぷちから蘇ってきた感がある。また、大野は1988年生まれの30歳と、まだまだ年齢的にもこれからの中日投手陣を引っ張っていかなければならない立場でもある。
大野は9月22日の広島戦に先発予定だったが、試合は雨天中止となった。大逆転でのクライマックス・シリーズ出場をかけ、スライド登板で今夜、広島との直接対決のマウンドに上がる。
▼ 大野雄大(中日)
ポジション:投手
投打:左投左打
身長/体重:183センチ/83キロ
生年月日:1988年9月26日
経歴:京都外大西高-佛教大-中日(10年D1)
[今季成績] 23試(166.2回) 9勝8敗 防2.59