コラム 2019.12.23. 11:40

遂に現場復帰! 城島健司の並外れた実績を振り返る

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城島健司氏(写真は2019年)

若くして台頭、長打力が一気に開花


 2012年の引退以来、球界から距離を置いていた城島健司氏(元ダイエー他)が遂に「現場復帰」することとなった。

 ソフトバンクの王貞治会長の招請に応え、「会長付特別アドバイザー」に就任。ポスト工藤公康監督候補とも、王会長の後継者とするべく招かれたとも報じられるが、具体的な活動内容については、本人も「まだなにも決まっていない」と就任会見で語っている。いずれにしろ、城島氏の現場復帰は野球ファンの多くが歓迎することだろう。

 今季こそ、森友哉(西武)が首位打者のタイトルを獲得し、會澤翼(広島)がリーグトップの得点圏打率を記録するなど、捕手が打撃面で魅せたが、日本球界では「打てる捕手」不足が長く叫ばれていた。だが、かつて、とくに2000年代はそれこそ打てる捕手の花盛り。なかでも城島をその筆頭に挙げる声は多い。

 城島のNPBでの通算打率は3割に迫る「.296」。これは、古田敦也(元ヤクルト)の「.294」、阿部慎之助(元巨人)の「.284」をしのぐ数字だ。また、城島は、セ・パ両リーグの捕手シーズン最多安打記録保持者でもある。希代の打てる捕手、城島が残した実績を、あらためて振り返ってみたい。

 育成に時間がかかるといわれる捕手でありながら、城島の台頭は早かった。高卒でプロ入りし、3年目の1997年にレギュラー捕手となると、いきなり打率.308を記録。21歳での打率3割は、捕手としては1944年の阪田清春(元阪急他)の20歳に次ぐ年少記録だ。その2年後、1999年には自身初の全試合出場を果たしてリーグ3位の打率.306を記録。球団初のリーグ優勝、日本一に大きく貢献した。

 打率はもちろん、その長打力も大きな魅力だった。2001年には31本塁打をマークし、史上5人目となる捕手での30本塁打を記録。その後も、2003年に34本塁打、2004年に36本塁打と本塁打を量産。とくに2003年には本塁打以外にも打率.330、119打点と打撃3部門でリーグトップクラスの数字を残したほか、日本シリーズでも、2000年のシリーズに続いて長嶋茂雄(元巨人)以来ふたり目となるシリーズ2度目の4本塁打を放つなど、捕手の常識を覆す強力な打撃でファンを魅了した。


メジャー、国際試合でも高い実績を残す


 その実力は、海の向こうでもいかんなく発揮された。2006年に渡米してマリナーズ入りした城島は、4月3日のエンゼルスとの開幕戦でいきなり初本塁打をマーク。続く4月4日の同カードでも2試合連続での本塁打を記録し、ド派手なメジャーデビューを飾った。この年は、松井秀喜(元巨人他)がメジャー1年目に記録した16本塁打を上回る18本塁打をマークしたほか、打率.291、76打点と好成績を記録。メジャー1年目からレギュラーの座をしっかり摑んでみせた。

 また、城島の評価は打撃に偏りがちだが、もちろん捕手としての能力も秀でている。キャッチング能力には否定的な評価もあったが、なにより阪神時代に「ジョー・バズーカ」とも呼ばれた驚異的な強肩が大きな武器だった。マリナーズ在籍中の2007年に記録した守備率.998と盗塁阻止率.465は、ともに同年のメジャートップの数字。ダイエー時代にも、2002年に盗塁阻止率5割を超える.508を記録するなど、2001年から4年連続でリーグトップの盗塁阻止率を記録している。

 これだけの攻守の能力に加えて強力なリーダーシップも持ち合わせる城島は、当然、国際試合にも欠かせない存在だった。2004年にはアテネ五輪日本代表となり、捕手ながら4番を務め、銅メダルを獲得。また、2009年の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも全試合にスタメン出場。9試合30打数10安打、打率.333、1本塁打4打点の記録を残し、日本の2大会連続での優勝に貢献している。

 こうして駆け足で振り返ってみても、城島氏の実績は並外れている。その豊富な経験に裏打ちされたアドバイスを受けて、常勝軍団ソフトバンクの選手たちがさらにスケールアップすることもあるだろう。先に「城島氏の現場復帰は野球ファンの多くが歓迎するだろう」とは述べたものの、もしかしたら、他球団ファンのなかには、その復帰におののいているファンもいるかもしれない。


文=清家茂樹(せいけ・しげき)

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