最速148キロのストレートを披露
ヤクルトの金久保優斗が4日、21歳の誕生日を迎えた。高卒3年目となる今季、10月22日の巨人戦(神宮)に中継ぎとしてプロ初登板のマウンドに上がり、2回無安打無失点と上々の一軍デビューを飾った期待の先発候補だ。
前日21日には「腕を振ってちゃんとストライクを投げて、二軍でやってきたことを一軍で結果残せるように頑張りたい」と意気込みを語り、高津臣吾監督からも「全力で腕を振っていい球を投げてこい」と激励された。
宣言通り初登板では思い切り腕を振った。ストレートは最速148キロをマーク。2イニング目に坂本、岡本、丸と巨人の主力打者を抑え込み、指揮官の思いに応える力投を見せた。
4番・村上と同期入団
2017年のドラフト5位でヤクルトに入団した金久保だが、ルーキーイヤーの18年5月に右肘を故障した。トミー・ジョン手術を受け、懸命にリハビリを続けてきただけに「やっと一軍に来られて素直に嬉しい」と喜びを口にした。
「ケガなく1年間戦える体づくりと投げられるスタミナ」を目指してきた男は、ドラフト同期の村上宗隆にも「同級生で同じチームであれだけ結果を残しているので、僕も負けずに投げたい」とライバル心を燃やしている。
そんな村上はチームの4番に座り、金久保のプロ初先発となった10月29日の広島戦(マツダ)で適時打を放ってアシスト。この日、金久保は5回1安打無失点と好投し、勝ち投手の権利を得てマウンドを降りたが、リリーフの清水が同点に追いつかれプロ初白星はお預けとなってしまった。
プロ初白星なるか
来季はさらなる飛躍の年にしていきたい。そのためにも、今季中にプロ初勝利を手にしたいところだ。
「真っすぐをずっと磨いてきて、ここにきて良くなってきた。一番の武器は真っすぐ」と、次戦も伸びのあるストレートと、スライダーを軸に相手打者を封じることができるか。
来季へ向け若手の積極的な起用が目立つようになったヤクルト。10月30日には2年連続の最下位が決定したが、今季は若い選手たちが試合を通じて成長していく姿も見られた。
高津監督は「来年だけじゃなく3年後、5年後、10年後というところで、スワローズを強くしたいと思いますし、今の若い選手がその頃に中心選手となってスワローズを引っ張る選手になってほしいと思います」と、言葉に力を込める。
金久保が未来のヤクルト投手陣の柱に成長するために、まずは「1勝」を全力で取りにいく。
取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)