順調な調整に満足げ
「イメージ通りのキャンプが送れているかなとは思います」。ソフトバンクから移籍してきた森唯斗がブルペンで汗を流した第4クールの最終日、ここまでの歩みに頷いた。
昨年は「去年のキャンプは初日で終わった」と早期離脱を後悔していたが、今年は「1ヶ月間のキャンプのプランを入る前から大体イメージはしていたので、そろそろそシーズンの感じのイメージでの打ち合わせだったりっていうのはしてます。ランニングにしても逆算してやってます」と順調な調整ぶりに満足げな表情。期待されている先発の役目にも「大体自分の中でイメージ作ってますし、東(克樹)だったりいろんな先発ピッチャーがいるんで、みんなの話を聞いていきたい」と11年目のベテランながらリリーバーとしての経験が多かったこともあり、積極的に先発陣とのコミュニケーションを取っていきたいと意欲を示した。
DeNAでのキャンプには「ゲームとかライブBPとかの日程は早めに教えていただいているので、ものすごく自分の中では、そこに持っていくという合わせ方に対して気持ちが楽でしたし、自分のやりたいこともできますし、チームで決められてることもできる」とやりやすさを実感。「時間はたくさんあるので、やらなければ落ちていくだけだと思います。それは全員思ってるのですごく良いことだと思います。次の実戦でのステージでしっかり結果残して1歩ずつやっていきたい」とサバイバルレースでの生き残りも誓った。また「みんな自分を持ってると思いますので、僕が逆に野手の関根(大気)とかに、いろんなお話はしてます」と野手とも接点も取っていると明かし「せっかく違う人たちとやれてるんで、どういう考えを持ってるのかっていうのは聞きたいです。僕の方が勉強になってます」とセ・リーグに移籍してきたことを含め、新しい環境に対して好奇心旺盛な部分も垣間見せた。
データも取り入れコントロール重視で挑む
DeNAもソフトバンクも親会社がIT企業ということもあり、データに力を入れている傾向にあるが「ここはすごくデータ面で発展しているなと思いますし、トレーナーさん含めて凄い点はいっぱいありますね。取り入れられるものは取り入れて、しっかりレベルアップしていければいいなと思っています」と決意。
実戦では変化球がやや多めのピッチングスタイルに見えたが「あんなもんですよ。僕って真っすぐも、皆さんみたいに速くないですし。コントロールが僕の中で1番なので、そこを大事に、どの球種もしっかりと上げようと思います」と剛球投手ではないと説明。セ・リーグで先発となると、バッターボックスにも入ることとなるが「ピッチャーなんで、しっかりバント練習をしております」と健気に取り組んでいると明かした。
リーグ優勝を4回も経験した常勝軍団の中心にいた右腕ながら「一度死んだ身」との信条を胸に、何事にも真摯に取り組む森唯斗。すべてをポジティブに取り入れようとするフレキシブルな姿勢は、若いベイスターズにとってかけがえのない財産になりそうだ。
取材・文・写真 / 萩原孝弘