ドラ4ルーキーが奮闘中
「負けたくないっていうのは、常に持ちながらやってます」。東洋大からドラフト4位で入団した石上泰輝は、連日大勢の報道陣を引き連れる大注目ドラ1ルーキー・度会隆輝を横目に、キッパリと言い切った。
新人合同自主トレを順調にこなし、沖縄市宜野湾で行われているA班の春季キャンプに帯同。紅白戦では猛打賞をマークするなどアピールに成功すると、対外試合に駒を進めてからもゲームに使われ続けるなど、実戦向きのプレイヤーとして頭角を現している。
バッティングでは身体全体を使った力強いスイングが魅力で「まずは来たボールに振り負けないように。基本はもう全部センターに強い打球を打ち返すだけをずっとやってて、強く振った中で打球が逆に飛んでいくっていうときもあるという感じです」と“振ること”を第一に意識していると告白。しかし「真っ直ぐの速さと強さが全然違います」とアマチュアとの違いには戸惑も隠せない。一時期は結果が出なかったこともあり「それをどうやって打つかって考えた時に、タイミングの取り方であったり、立ち遅れないような構えもですけど、色々考えながらやってる途中で、今模索中ですね」と試行錯誤が続く。
また「自分の中ではまず守備だと思ってるので」と自慢の守備力も武器で、21日のゲームでは内野の深い所で中継に入り、遠投120メートルを誇る強肩でホームでランナーを刺してみせた。
ただ「ずっと守ってたんで。守りやすさっていうのは、ショートの方があります」と大学時代から慣れ親しんだポジションのほかに、セカンドにも挑戦していることに「そこはセカンドでと言われたら、動き方など、そこはショートとはまた別の切り替えで、セカンド守備をしっかり守ることをいつも心がけてやってます」と出場機会を求めて奮闘中。しかし本業とは逆の動きに「はい本当に難しいです。全然見え方も変わってくるので…ゲッツーも腰の切り方も難しいですし」と本音も吐露。それでも「牧(秀悟)さんにセカンドの動きとかについて、自分からわからないところを聞くようにはしてます」と、気後れせず前向きにトライしている。
もうひとつ、50メートル6秒フラットの足もあり、18日のロッテ戦では右中間を抜く当たりを放つと、迷わずセカンドを駆け抜けスリーベースヒットをマーク。172センチ85キロの体躯とは思えぬ程の快足披露に「よく速そうに見えないと言われますけどね」と照れながらも、実は自慢の武器と明かした。その姿を見たチームメイトは「ベンチプレスも140キロとか上げるしスピードも兼ねている。アメフトの選手のような身体能力」と目を丸くしていた。
決して“チョける”タイプではないが、しっかりと実力で足跡を残してきた石上泰輝。走攻守に高いポテンシャルを誇る“ハマのカミカミ”は、じっくりと着実にポジションを獲りに行く。
取材・文=萩原孝弘