今回の質問・お悩み
「息子の打球が左にしか飛びません」
いつも楽しく拝見させて頂いています。
私の息子(小学校4年生)は地元の軟式少年野球クラブに入団しており、日々練習に励んでいます。
練習で、ロングティーを行うのですが、息子(右打ち)の打球はほぼ全てと言っていいぐらいショートから三塁側への打球になります。10球のうち、5球ぐらいは三塁側へのファールボールになります。
「センター返しをしろ」と監督から言われますが中々うまく行きません。
インパクトからフォロースルーにかけてバットを巻き込んでいるように見えます。また、体の開きも早いように思われます。
ネットの前でのティーでも、ネットに入らずネットの左側に打球が行きます。
バットを巻き込むクセを修正できる練習方法等をご教授頂けたら幸いです。
よろしくお願いします。(40代 男性)
廣川さんの答え
前回に続いて説明したいと思います。
投手の投球がもの凄く遅いボールであれば打球の方向を決めて打つのは比較的容易だと思います。投手の球速が上がり、球種が増えるとともにその難易度は上がります。
① 球種やコースの見極めを早く行う
② より良い結果が出そうな「打球を放つ方向」を決める
③ 決めた方向に飛ぶようなスイングを実行する
この①~③を素早く判断して実行することで相手投手のレベルアップに対応することができるように思います。
ここで前回お話しした「ボトムハンドの角度」が重要になります。右打者の場合のボトムハンドは左手のことです。このボトムハンドの甲が空の方を向いていると、手首の可動が制限されるので「打球の方向に対して90°」を作ることが難しくなってしまいます。
一方で甲が投手側を向いていると手首の可動に自由が効きやすいことと、タイミングが外れた時にも調整がしやすいために打球の方向をコントロールしやすくなります。(図2)
投手は「打者が上手く打てる場所にボールを投げる意識」、打者は「投手が捕れる場所に打ち返す意識」を持ってお互いを気遣いながら練習することが「チームワークに対する意識」「打球の方向をコントロールする意識」の両方を向上させると思います。
「ペッパー打撃」なんて真新しくもない、普通の練習です。しかしありふれた普通の練習を無意識にやるか、それとも明確な目的を持って取り組むかで練習の質が変わります。
これらの目的や意図を「理屈」とか「能書き」と言って嫌う指導者もいます。
私は指導者というのは選手に「練習の目的」「期待する成果」「技術的な根拠」をできるだけ丁寧に説明すべきだと思います。準備運動ひとつとっても「この関節を伸ばすため」と言った目的を説明すると効果が上がります。もし選手に意味や目的を聞かれたら、丁寧に説明してあげたいです。
*「ご用件」に「少年野球質問箱」と書いて、廣川さんに教えて欲しい悩みや疑問をお送りください。
【球歴】
えひめ西(現松山)、リトルリーグ、愛媛県立松山北高等学校、甲南大学(阪神大学野球連盟)、リクルート(社会人野球東京支部)
【受賞歴】
■リトルリーグ
-四国大会優勝
■高校野球
-愛媛県中予地区新人戦優勝
-秋季愛媛県大会準優勝(四国大会出場)
-第59回選抜高等学校野球大会出場
■大学野球
-阪神大学野球連盟2部リーグ最優秀投手賞
(→1部昇格)
-阪神大学野球連盟特別賞(3度)
・1試合最多奪三振記録樹立(18個/当時)
・通算最多奪三振記録樹立(351個/当時)
・通算最多登板記録樹立(57試合/当時)
-学生日本代表候補選手選出 など
【野球指導歴】
-学童野球コーチ
-中学硬式野球チームコーチ・監督
-その他高校・社会人野球臨時コーチなど多数。
*前回記事「打球が左にしか飛ばない息子(前編)」
まずは「打ちたい方向に打つ」という発想を持つこと
まず打撃は「思い切り振って打球の方向はボールに聞いてくれ」という発想ではなく、「どの方向に打ちたいか?」という意思を持つことが大事だと思います。投手の投球がもの凄く遅いボールであれば打球の方向を決めて打つのは比較的容易だと思います。投手の球速が上がり、球種が増えるとともにその難易度は上がります。
① 球種やコースの見極めを早く行う
② より良い結果が出そうな「打球を放つ方向」を決める
③ 決めた方向に飛ぶようなスイングを実行する
この①~③を素早く判断して実行することで相手投手のレベルアップに対応することができるように思います。
「打球が飛ぶ方向」を決定するのは?
私は打球の方向を決める時、「打球を飛ばしたい方向に対してバットを90°になるように出す」を目安にしています。センター方向に打ちたいのであれば、投手に対して90°になるような角度でボールに当てると打球はセンター方向に飛びます。(図1)(図1)
ここで前回お話しした「ボトムハンドの角度」が重要になります。右打者の場合のボトムハンドは左手のことです。このボトムハンドの甲が空の方を向いていると、手首の可動が制限されるので「打球の方向に対して90°」を作ることが難しくなってしまいます。
一方で甲が投手側を向いていると手首の可動に自由が効きやすいことと、タイミングが外れた時にも調整がしやすいために打球の方向をコントロールしやすくなります。(図2)
図2
「ペッパー打撃」が有効だと思います
私が「打球の方向をコントロールする」という感覚を養うためには、「ペッパー打撃」がもっとも有効な練習方法だと思います。投手と打者が1対1になって、打者が投手の方向にボールを打ち返す練習です。うまく投手が捕れる場所に打ち返すことが難しいので学童野球のチームでは取り入れていないチームも少なくないのですが、私はやったほうが良いと思います。投手は「打者が上手く打てる場所にボールを投げる意識」、打者は「投手が捕れる場所に打ち返す意識」を持ってお互いを気遣いながら練習することが「チームワークに対する意識」「打球の方向をコントロールする意識」の両方を向上させると思います。
「ペッパー打撃」なんて真新しくもない、普通の練習です。しかしありふれた普通の練習を無意識にやるか、それとも明確な目的を持って取り組むかで練習の質が変わります。
これらの目的や意図を「理屈」とか「能書き」と言って嫌う指導者もいます。
私は指導者というのは選手に「練習の目的」「期待する成果」「技術的な根拠」をできるだけ丁寧に説明すべきだと思います。準備運動ひとつとっても「この関節を伸ばすため」と言った目的を説明すると効果が上がります。もし選手に意味や目的を聞かれたら、丁寧に説明してあげたいです。
*「ご用件」に「少年野球質問箱」と書いて、廣川さんに教えて欲しい悩みや疑問をお送りください。
「廣川さん」プロフィール
廣川寿(ひろかわ ひさし)1969年生まれ。愛媛県出身。全国約7,000人の野球指導者及び保護者から絶大な支持を得ているFacebookページ「少年野球指導者のひとり言」管理人。【球歴】
えひめ西(現松山)、リトルリーグ、愛媛県立松山北高等学校、甲南大学(阪神大学野球連盟)、リクルート(社会人野球東京支部)
【受賞歴】
■リトルリーグ
-四国大会優勝
■高校野球
-愛媛県中予地区新人戦優勝
-秋季愛媛県大会準優勝(四国大会出場)
-第59回選抜高等学校野球大会出場
■大学野球
-阪神大学野球連盟2部リーグ最優秀投手賞
(→1部昇格)
-阪神大学野球連盟特別賞(3度)
・1試合最多奪三振記録樹立(18個/当時)
・通算最多奪三振記録樹立(351個/当時)
・通算最多登板記録樹立(57試合/当時)
-学生日本代表候補選手選出 など
【野球指導歴】
-学童野球コーチ
-中学硬式野球チームコーチ・監督
-その他高校・社会人野球臨時コーチなど多数。