ニュース 2019.07.31. 12:00

子どもを守るために大人が知っておくべき「4つ」の熱中症

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熱中症は体の中にこもってしまった熱がうまく外に発散されず、体温調節機能が低下してしまうことで起こります。
特にジュニア選手にとっては、激しい運動によって体温が上がりやすく、また体も大人に比べて未熟なことからより注意が必要となってきます。
指導者や保護者の方は選手たちがこまめな水分補給を行っているか、普段と比べて動きに変化がないかといった小さな変化を見逃さないようにしましょう。

熱中症には、
【1】「熱失神」
長時間屋外にいたり、立ち上がったりした時、運動後などに一時的に起こる

【2】「熱疲労」
脱水による脱力感、めまい、頭痛、吐き気などを訴える

【3】「熱けいれん」
大量に汗をかいて水分補給のみを行い、水分と塩分のバランスが崩れて足、腕、お腹などに痛みやけいれんを起こす

【4】「熱射病」
体温上昇によって中枢機能に異常をきたし、反応が鈍い、言動がおかしい、意識がないといった重篤な症状がみられる

の4種類があります。

足のけいれんなど見た目の変化があれば、大人がすぐに対応することが出来ますが、ジュニア選手たちは体の異変を感じても、うまく表現できなかったり、プレーを途中でやめづらくてそのまま続けてしまったりといったことが考えられます
チームでの練習では必ず全体でウォーターブレイク(強制引水)をとり、練習と練習の間の休憩では日陰で休ませるようにするといった配慮が必要です。

また練習中の表情を確認し、顔全体が熱っぽかったり、逆に青白くなっていたりした場合は一度プレーを中断させて、状態を確認するようにしましょう。
熱中症のような症状が見られる場合は、まず日陰で休みをとります。
ベルトやスパイクなど体を締め付けているものはゆるめ、横になった方が楽であればそのようにしてしばらく安静にします。

水分が取れる場合は経口補水液やスポーツドリンクなどを少しずつゆっくりと飲むようにします。
体を冷やすときには首元や脇の下、股の付け根、膝裏といった大きな動脈がある部分を中心に氷などを利用して冷やします
霧吹きなどがあれば体全体を湿らせて、うちわや扇子などを使って仰ぐようにすると皮膚から熱が放散され、冷却効果が高まります。
ただし選手が寒さを感じるようであれば控えるようにしましょう。

しばらくしても様子が変わらない、また意識障害などの重篤な症状が見られる場合はすぐに病院へ搬送するようにしましょう。
選手の体力やその日のコンディションによって、誰もが熱中症になるリスクがあります。
一番近くで見守っている大人の対応が大切になってくることを理解しておきましょう。



著者プロフィール



アスレティックトレーナーの西村典子さん

アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。

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