ニュース 2018.10.04. 17:47

【飯塚ボーイズ】練習試合は全員出場!大事なのは成長を認めて「褒めてあげること」

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「毎年、甲子園が始まると自分の高校時代を思い出しますね。特に夏の福岡大会決勝戦を見ると、負けて相手の校歌を聞いた自分と重なって、自然と涙が出てくるんですよ」。
 
春山監督は、遠くを見つめながら感慨深げに話した。目じりのシワは深く、御年は71歳。高校時代をふり返る目は野球少年のままだ。

飯塚商の主将、外野手として活躍した。高3夏は決勝戦まで進み、三池工に4-6で敗退。ちなみに勝った三池工の指揮を執っていた原貢監督は元読売ジャイアンツの原辰徳氏の父(故人、のちの東海大相模、東海大監督)。甲子園でもその手腕を発揮し、初出場初優勝を成し遂げた。

「決勝で勝ってたら僕たちが全国制覇? さすがにそりゃ思わんよ。でも三池工は強かったね」。
春山監督はそのあと専修大へ進学し、1年間の高校野球監督(直方学園高校=現在は廃校)を経て、家業に従事。41歳から中学野球の指導に携わった。
 
「三池工との決勝は同じ炭鉱の町だったし、負けて悔しくてね。だから、僕にとっても甲子園は永遠の憧れなのよ。毎年、教え子たちが甲子園で活躍するのを見るのが楽しみなんですよ」。

 
県内外に進学する教え子のうち、今年は2名が甲子園で躍動した。折尾愛真のエース・小野剛弥投手(3年)と、浦和学院・美又王寿投手(1年)だ。他にも、メンバーには入っていないが、下関国際、益田東、広陵、大阪桐蔭など、飯塚ボーイズを巣立った選手が夢舞台を味わった。甲子園の季節は自チームの大会、練習があるため、春山監督はほとんど応援に行けない。最後に行ったのが5年前の横浜戦。同校のキャプテンを務めた松崎健造選手(立教大4年)、主砲の高濱祐仁選手(日本ハム)の応援だった。
「30年で5回しか行ったことないけんね~」。

どんな年も目の前の選手が第一優先。甲子園での勇姿を思い浮かべながら、真夏もグラウンドでノックバットを振り続けている。
 

30年で6人のプロ野球選手を輩出。多くの選手を試合に出場させる

福岡ニュースターズ(現・福岡中央ボーイズ)で12年、現チームで18年。30年の指導歴の中で、吉川光夫投手(日本ハム―巨人)など計6人の選手をプロ野球に送りだした。
もちろん、中学卒業後の本人の努力、良い指導者、仲間に恵まれたことも大きいが、可能性ある田舎の中学生にやる気を起こさせ、可能性を伸ばすのが春山監督の指導方針だ。評判を聞いて、飯塚市外はもちろん、山口県から通う選手もいるという。


「筑豊の子供は野球が上手い。全員に力を発揮して欲しいので、練習試合では全員試合に出します。九州大会と、全国大会につながる試合だけは、どうしてもメンバーを選ばせてもらっていますが、それ以外の大会はみんな出ます。ポジションも、本人たちの希望を優先して入団時は好きな所を守らせているんですよ」。
 
「全員に出場機会ー」
2017年8月のボーイズリーグ全国大会(大阪)の決勝戦では、スタメンの6、7、8番にレギュラーではない選手を起用し、周囲を驚かせた。飯塚ボーイズは出場選手14人で投手戦を制し、初優勝を果たす。
「控えの選手を先発に置いて、1打席限定で交代させる起用法はよくあるんですよ。その方がベンチも盛り上がり、試合への一体感も増すじゃないですか。誰が『流れ』を作るかわからないですからね」。
7イニング制の中学野球でも、選手を信頼し、思い切った采配をするのが春山流だ。
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