チームのキーマンは中学軟式出身の二人
打力に自信を持つ今年のチームの中で、下野輝章監督(35)が「キーマン」に挙げているのが、2年生の3番福田選手(写真左)、4番田代選手(写真右)の2選手です。両選手は中学軟式出身ですが「ふたりがポイントゲッターとなって打線をひっぱっている」と下野監督が期待を寄せるほど、チームの中心選手へと成長しています。福田選手は1年秋に4番で4強入りに貢献。準々決勝・九国大付戦では先制の左前打を含む2安打を放つなど、勝負強さを発揮しました。5月のGW中の練習試合で足首を骨折してしまい、夏のメンバーから外れる苦い経験もありましたが、8月に復帰し、新チームでは3番を任されています。3番としてのやりがいを聞くと「1、2番が塁に出てくれるので、返すのではなく、つなげるイメージで打っています。秋は調子が上がる前に、4回戦で負けてしまったので、春の大会で良い調子に持って行けるよう準備をしたい」と話します。
4番を打つ田代選手は春にメンバー入りし、夏の南福岡大会にも参戦。前エース金光雄紀投手(3年)ら先輩投手陣の球をブルペンで受けるなど、経験を積みました。新チームから4番に抜擢されていますが「打順にこだわらず、自分の仕事を果たすだけです」と冷静な姿勢を崩しません。チームの課題である投手力を底上げするためにも、田代選手のリードがカギを握ることになりそうです。
軟式から硬式へ移行で苦労したこと
中学時代は軟式でプレーしていた両選手。硬式の高校野球への移行はどうだったのでしょうか? そのあたりの印象について聞くと二人とも「最初は難しかった」と答えます。具体的にどの点が難しかったのでしょうか。「外野フライを取るのに苦労しました。軟式はそこまで伸びないけど、硬式は伸びてくるので、落下点を見誤ることが最初はありました」(福田選手)
「(キャッチャーをやっていて)捕球するときに軟式の球よりも変化球が曲がるし、真っ直ぐの伸びも威力があったので、そこに対応するのが大変でした」(田代選手)
どちらも、守備での苦労を口にしました。打撃のほうはどうだったのでしょうか。打ち方を変えることはあったのかと聞くと、
「自分は形を変えなかったです。タイミングをしっかり取ることを1番に頭に置いて、来た球に逆らわずにバットを出して打ちました」(福田選手)
「軟式よりも、少しだけヘッドを立てて回転を意識しました。軟式は(ボールの)真ん中を叩いていたけど、硬式は下を打つイメージです」(田代選手)
田代選手は若干の微調整を行ったようですが、福田選手のように自分の打撃の基本を変えずに打つ選手は多いようです。そして両選手ともに「最初は苦労するけど、2、3カ月したら慣れます。慣れないと高校野球でやっていけないですから」と口をそろえました。
最後にそれぞれの今後の課題、目標を聞きました。
福田選手は「筋トレでパワーをつけたいです。体育館のウエート場が使えるので、冬の間に鍛えます。ベンチプレスは今75キロなので、もっと上がるように頑張ります」と話し、田代選手は「冬の間に振り込んで、スイングスピードを上げて夏に備えたい。守備ではキャッチング、スローイング、ピッチャーとのコミュニケーション、すべての面でレベルアップしたいです」と話してくれました。
春2回、夏4回、計6回の甲子園出場を誇る東福岡も、2007年夏に出て以来、11年甲子園から遠ざかっています。秋は4回戦で敗れてしまった東福岡。名門復活を引っぱる2人の打棒に期待しましょう。