(1)体を動かすことによる疲労
これは一番わかりやすいものですが、練習や試合などで体を動かすと体内に疲労物質が蓄積され、それがうまく代謝できない状態の時に疲労を感じるようになります。以前は疲労物質といえばエネルギーを代謝したときに発生する「乳酸」がその代表として挙げられていましたが、乳酸そのものは再利用可能エネルギーであるため、乳酸そのものが疲労に直結するものではありません。
また運動後に起こる筋肉痛は筋肉の収縮によって筋線維が傷つき、それを修復する過程で起こる生理現象です。
(2)体を動かさないことによる疲労
一方で体をあまり動かさないことによる疲労もあります。遠征に出かけるときのバス移動などで同じ姿勢を長時間強いられると、全身の血流が悪くなり、筋肉が緊張して硬くなり、腰痛をはじめとするさまざまな症状が見られることがあります。
長時間同じ姿勢で座り続けるとなりやすいと言われているエコノミークラス症候群も、体を動かさないことが大きな要因となります。
移動が長いときは途中で休憩をとったり、目的地に着いたらストレッチをして体を動かすようにしましょう。
(3)交感神経の刺激による脳の疲労
脳は常に判断や反応といった情報処理を行い続けるため、時間の経過とともに疲労していきます。体の調節機能を司る自律神経には活発なときに働く交感神経と、体を休めるリラックスモードの副交感神経があり、スポーツなどの激しい運動を行うと体温や心拍の調整をするために交感神経がより優位に働きます。
練習後などにアクティブな状態からリラックスモードへとうまく切り替えられないときは、夜でもなかなか寝つけなくなり、睡眠不足など体のコンディションを崩す一因ともなります。
ジュニア選手たちは体力的な要因もさることながら、脳の疲労による「疲れ」を感じることが多く、元気に動き回っていたのにスイッチが切れたようにパタンと寝てしまう…といったことも見られます。
新しい環境などで緊張したとき、初めて行う練習内容などさまざまな情報に触れたときなどには、さらに情報量を詰め込むようなこと(スマホ操作など)は控え、栄養と休養を十分にとって疲労回復につとめるようにしましょう。
こちらでも詳しく紹介されています!
■タイトル:「基礎から学ぶスポーツセルフコンディショニング」
■発行元:日本文芸社
■著者:西村典子
■価格:1728円
■頁数:256頁
著者プロフィール
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。
大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。