今回の質問・お悩み
「ヘッドを走らせる」ってどうゆうことですか?
中学硬式で息子が7番を打っています。178cm73kgあり体格はいいのですが運動神経は中の下といった感じです。試合でも練習でもなかなか良い当たりが出ません。たまに出るヒットもグシャッとした当たりが多いです。
監督さんやコーチも体格の割に打撃が弱い息子をなんとかしたいと思っていただいているようで色々とアドバイスを下さいます。中でも「ヘッドが出てこないから打てない」「もっとヘッドを走らせろ」と言われるそうなのですが、本人も私も「ヘッドを出す」「ヘッドを走らせる」という意味がよくわかっていません。ネットでも調べてみたりするのですが、よく理解できません。息子もコーチに尋ねたそうなのですが、身振り手振りで説明をされても「よくわからなかった」そうです。
・「ヘッドが出る」「ヘッドが走る」というのはどういう状態のことなのですか?
・「ヘッドが出る」「ヘッドが走る」ことによってバッティングの何が変わりますか?
・「ヘッドが出る」「ヘッドが走る」スイングを身につけるためにはどんな練習をすればいいですか?
どうぞよろしくお願いします。
廣川さんの答え
前回は「ヘッドが走らない原因」として右打者を例に3つの現象を紹介しました。
【1】左足の踏み込みが不安定な場合
【2】左肩の開き
【3】左手首の角度
今回はこれらを回避するための技術的な留意点について説明したいと思います。素振りや打撃練習の際に以下の点に気を配りながら練習することで「ヘッドが走る」という感覚を養っていただけるのではないかと思います。
踏み込んだ左足の支えが弱いと上半身およびグリップが投手方向に動き続けてしまうので、ヘッドを出すのが難しくなってしまいます。
私は踏み込んだ足のつま先は「投手方向に対して45°」を推奨しています。
「つま先が投手方向に向いてしまうと体が突っ込みやすくなってしまう」
「つま先を全く開かずに振ると膝を痛めてしまうリスクがある」
の両方を踏まえて、「踏ん張りが効いて、かつ膝を痛めずに振れる」という利点を踏まえて、45°を推奨しています。
これを回避するために上半身を捕手方向に残す「割り」という形を作ります。
この「割り」によって体の開きによるグリップの移動が抑えられ、グリップが三塁方向に流れないことによってヘッドが出しやすくなります。
この「割り」は体から遠い「外角球への対応」や「変化球による緩急への対応」にも役立ちます。
ボトムハンドの手首を立ててインパクトに入ることで手首の可動に自由を与え、トップハンドでの押し込みが機能する形を作りたいです。
補足ですが、トップハンドで「押し込む」時には「右脇を締める」がポイントです。
右脇が空いてしまうとドアスイング気味になってしまうので、右脇を締めることで「インサイド→アウト」スイングになることを心がけましょう。
グリップを固く握って初動からフルスイングするとグリップばかりが走ってヘッドが遅れやすくなります。
「グリップがお臍(へそ)の前に来たあたりで遠心力を最も感じるようなイメージ」で70%くらいの力加減で素振りをすると良いと思います。
この「遠心力を感じる」という感覚が形成される前にフルスイングを繰り返すと、ヘッドが遅れやすくなる傾向が強いように感じます。
ぜひお試しください。
*「ご用件」に「少年野球質問箱」と書いて、廣川さんに教えて欲しい悩みや疑問をお送りください。
【球歴】
えひめ西(現松山)、リトルリーグ、愛媛県立松山北高等学校、甲南大学(阪神大学野球連盟)、リクルート(社会人野球東京支部)
【受賞歴】
■リトルリーグ
-四国大会優勝
■高校野球
-愛媛県中予地区新人戦優勝
-秋季愛媛県大会準優勝(四国大会出場)
-第59回選抜高等学校野球大会出場
■大学野球
-阪神大学野球連盟2部リーグ最優秀投手賞
(→1部昇格)
-阪神大学野球連盟特別賞(3度)
・1試合最多奪三振記録樹立(18個/当時)
・通算最多奪三振記録樹立(351個/当時)
・通算最多登板記録樹立(57試合/当時)
-学生日本代表候補選手選出 など
【野球指導歴】
-学童野球コーチ
-中学硬式野球チームコーチ・監督
-その他高校・社会人野球臨時コーチなど多数。
【1】左足の踏み込みが不安定な場合
【2】左肩の開き
【3】左手首の角度
*前回の内容はこちら
今回はこれらを回避するための技術的な留意点について説明したいと思います。素振りや打撃練習の際に以下の点に気を配りながら練習することで「ヘッドが走る」という感覚を養っていただけるのではないかと思います。
【1】左足に「地面からの反発」を感じながら振る
踏み込んだ左足を少し突っ張るようなイメージで踏み込みましょう。踏み込んだ左足の支えが弱いと上半身およびグリップが投手方向に動き続けてしまうので、ヘッドを出すのが難しくなってしまいます。
私は踏み込んだ足のつま先は「投手方向に対して45°」を推奨しています。
「つま先が投手方向に向いてしまうと体が突っ込みやすくなってしまう」
「つま先を全く開かずに振ると膝を痛めてしまうリスクがある」
の両方を踏まえて、「踏ん張りが効いて、かつ膝を痛めずに振れる」という利点を踏まえて、45°を推奨しています。
(図1)
【2】「割り」を造る
インパクトに入る時に下半身は左足を踏み出すことで投手方向に体重移動すると思いますが、その時に上半身も一緒に投手方向に移動するといわゆる「開き」という状態に陥ってしまいます。これを回避するために上半身を捕手方向に残す「割り」という形を作ります。
この「割り」によって体の開きによるグリップの移動が抑えられ、グリップが三塁方向に流れないことによってヘッドが出しやすくなります。
この「割り」は体から遠い「外角球への対応」や「変化球による緩急への対応」にも役立ちます。
(図2)
【3】ボトムハンドの手のひらを「立てる」
前回説明したようにボトムハンドの甲が上を向いてしまうと、手首の構造が邪魔していくらトップハンドで押し込んでもバットのヘッドが出てこなくなります。ボトムハンドの手首を立ててインパクトに入ることで手首の可動に自由を与え、トップハンドでの押し込みが機能する形を作りたいです。
補足ですが、トップハンドで「押し込む」時には「右脇を締める」がポイントです。
右脇が空いてしまうとドアスイング気味になってしまうので、右脇を締めることで「インサイド→アウト」スイングになることを心がけましょう。
(図3)
ヘッドが遅れる人は、敢えて「フルスイングしない」
最後に、特に小・中学生に推奨したい練習の仕方として敢えて「フルスイングしない」をお勧めしたいと思います。グリップを固く握って初動からフルスイングするとグリップばかりが走ってヘッドが遅れやすくなります。
「グリップがお臍(へそ)の前に来たあたりで遠心力を最も感じるようなイメージ」で70%くらいの力加減で素振りをすると良いと思います。
この「遠心力を感じる」という感覚が形成される前にフルスイングを繰り返すと、ヘッドが遅れやすくなる傾向が強いように感じます。
ぜひお試しください。
*「ご用件」に「少年野球質問箱」と書いて、廣川さんに教えて欲しい悩みや疑問をお送りください。
「廣川さん」プロフィール
廣川寿(ひろかわ ひさし)1969年生まれ。愛媛県出身。全国約7,000人の野球指導者及び保護者から絶大な支持を得ているFacebookページ「少年野球指導者のひとり言」管理人。【球歴】
えひめ西(現松山)、リトルリーグ、愛媛県立松山北高等学校、甲南大学(阪神大学野球連盟)、リクルート(社会人野球東京支部)
【受賞歴】
■リトルリーグ
-四国大会優勝
■高校野球
-愛媛県中予地区新人戦優勝
-秋季愛媛県大会準優勝(四国大会出場)
-第59回選抜高等学校野球大会出場
■大学野球
-阪神大学野球連盟2部リーグ最優秀投手賞
(→1部昇格)
-阪神大学野球連盟特別賞(3度)
・1試合最多奪三振記録樹立(18個/当時)
・通算最多奪三振記録樹立(351個/当時)
・通算最多登板記録樹立(57試合/当時)
-学生日本代表候補選手選出 など
【野球指導歴】
-学童野球コーチ
-中学硬式野球チームコーチ・監督
-その他高校・社会人野球臨時コーチなど多数。