ニュース 2019.03.26. 12:22

子どもたちに『気づき』を与え、自立へと導く|POCARI SWEAT presents. 仁志敏久の野球愛教室(第2回)

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→第1回のレポートはこちら



ジュニア年代にオススメ!アジリティトレーニング


前回の野球教室から一週間、小金原ビクトリーの高橋監督は「練習の目的を聞いてきたり、以前に比べて物事を深く考えるようになった」と早くも子どもたちの変化を語ります。
第2回では、チームの練習に仁志さんが参加して技術面の指導も行う予定でしたが、当日はあいにくの雨。しかしそんな雨をものともせず、子どもたちはキャプテンを先頭に元気にウォーミングアップを始めました。





ポカリスエットで水分補給をした後、仁志さんとU12代表チームでタッグを組んだ川島浩史トレーナーによる方向転換能力や俊敏性を鍛えるアジリティトレーニングを行いました。川島さんは、「雨の中でも動ければ、晴れの日はもっと動けるよ!」とポジティブな声かけで練習へのモチベーションを高めます。





バック走やサイドステップ、さらにストップ&ゴーの動きを織り交ぜ、前後左右へのスムーズな切り返しを繰り返します。さらに後方のフライを追いかけるシーンを想定した斜め後ろ方向へのダッシュや、ショートが三遊間の打球を処理するように、踏ん張った反対方向へ体勢が流れることなく送球するための重心移動など、実践を想定したトレーニングも。ボールを使わずにイメージするだけでも動きの質はグンと上がります
「こういった複雑な動きを小さい頃から行えば、運動選手としての将来が大きく変わる」と話す川島トレーナー。高橋監督もわずかな時間での子どもたちの動きの変化に驚いていました。この後、雨脚はさらに強くなり、残念ながらトレーニングはここで終了。室内での取り組みに移りました。





カードを使ってグループディスカッション


教室では4~5人ずつのグループに分かれた子どもたちに、仁志さんは三色のカードを配ります。黄色のカードには「自立のために必要なこと」、青のカードには第1回で子どもたちと仁志さんが約束した「生活にまつわる自分一人でできること」、赤のカードには第1回の練習試合で出た反省点や改善点など「野球にまつわること」が書かれています。グループで話し合いながら、黄色のカードを中心に関連する青と赤のカードをまとめていきます。





子どもたちはお菓子を食べすぎないことがまん?」「親の手伝い責任感?おもいやり?と互いに意見を言い合いながら、カードを並べていきます。リーダーがまとめて進めるグループもあれば、相談しながら多数決で決めるグループなど、子どもたちによって進め方もさまざま。仁志さんは口出しすることなく、子どもたちの様子を見守ります。また見学に来ていた保護者の方も、新鮮な様子で子どもたちの考え方や発想に耳をかたむけていました。子どもたちは並べていくうちに、青と赤のカードの内容が同じ心がけで繋がることに気づいていきます。

「おもいやり」「困っている人を助けてあげる」「投手が困っているときに励ましの声をかけられる」というように、生活のなかで出来ることは野球にも繋がるという仁志さんが伝えたいポイントを理解し始めた子どもたち。それぞれの解釈で考えグループで共有しながら、気持ちと行動と野球のプレーを繋げていきました。

なりたい姿を宣言


続いて仁志さんは、「このチームで○○な選手になる!」と宣言してみようと提案。子どもたちは少し恥ずかしがりながらも、普段あまり表現する機会がない内に秘めた思いを解き放ちます。





「チームのエースになります!」

「一番ヒットを打てる選手になります!」

「外野の守備ならだれにも負けない選手になります!」

子どもたちの気持ちのこもった熱い宣言に、保護者からは「よく言った!」「がんばれ!」という声が聞かれ、子どもの成長を目の当たりにして、嬉しそうな表情を浮かべて拍手する姿も印象的でした。高橋監督も「頼もしいな!」と子どもたちの様子を見つめていました。自分がどういう選手になりたいのかチームメイトに理解してもらうことも重要ですが、チームメイトの前で口にすることで潜在的な思いを引き出すことができるのです。





何よりも必要なのは大人の我慢


「前回に比べて、子どもたちとじっくり話すことができた」と仁志さんが満足そうに話す通り、子どもたちとの距離がグンと近づいた第2回の野球教室。野球を通して、自分で考え行動することの意義を子どもたちは少しずつ理解してきたのかもしれません。

「ただ気をつけたいのは『宣言したからやりなさい!』と言ってしまう大人なんです」と語った仁志さん。とても難しいことですが、子どもたちのやる気を削がずに、大人が我慢して黙って見守るということが何より必要なのです。



「子どもが宣言したことを忘れていたら、『あのとき何て言ったんだっけ?』と思い出すためのヒントをあげてください。答えではダメです。答えを出すのはあくまで子ども。それを大人には理解して欲しいと思う」と仁志さんは、指導者や保護者の意識にも変化が必要だと話していました。

最後の第3回となる次回は、再び練習試合を行います。少しずつ自立し始めた子どもたちがグラウンドでどのような姿を見せるのか、最後に仁志さんがどのような言葉を伝えるのか、レポートします。
(第3回のレポートは4月中旬の掲載予定です)



(取材:ヤキュイク編集部、写真:神山陽平)






野球愛教室 ダイジェスト





仁志 敏久 プロフィール




常総学院高校では甲子園準優勝1回含む3年連続出場。その後、早稲田大学から日本生命へとキャリアを積み、1995年ドラフト2位で読売ジャイアンツに入団。主に二塁手として、華麗な守備と俊足強打でファンを魅了。4年連続でゴールデングラブ賞に輝いた。2007年に横浜ベイスターズに移籍し、2010年には米独立リーグでもプレー。2010年に現役引退。
引退後はメディアでの解説・評論活動を中心に活躍の幅を広げ、2013年からは侍ジャパンの内野守備・走塁コーチやU-12の監督を務めた。1971年10月4日生まれ。

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