ニュース 2019.04.08. 12:00

野球をさせるなら軟式?硬式?現役投手のキャリアから見えてくる「現実の話」

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先日、ヤキュイクでも「プロ野球開幕投手全員が中学軟式出身!軟式出身は不利じゃない!?」と題して開幕戦でスタメン出場を果たした日本人選手の中学時代の出身チームについて取り上げていたが今回はもう少し深掘りしてみたいと思う。
子どもに野球をさせる親は、誰しも「甲子園」「プロ野球」を夢見るだろう。そのためには少年硬式野球をさせるほうがいいのか、軟式野球でもいいのか。そして甲子園に出場したほうがプロで活躍できるのか。そうした判断の参考になるデータを紹介しよう。




中学では硬式がいいか?軟式がいいか?


昨年、NPBの1軍の試合で投げた投手は340人いたが、このうち外国人投手49人を除く291人について、中学時代の球歴と甲子園出場の有無について調べてみた。高校野球雑誌、専門サイトなどの情報に基づく。

まずは中学時代の硬式野球出身者と軟式野球出身者の昨年の投手成績も集計した。下段は、それぞれのカテゴリーの代表的な選手。



中学時代の球歴がわからない選手が10人いた。また広島の永川勝浩は中学時代、バスケットボール部に所属していたので除外した。

全体の46.1%にあたる129人が硬式野球出身。53.9%の151人が軟式出身。
中学の野球競技人口は、公式、軟式合わせて22.2万人。そのうち硬式は21.6%の4.8万人。軟式が78.4%の17.4万人とされる。中学野球の全体の比率から考えれば、中学から硬式野球を始めたほうが、プロへの近道だとは言えるだろう。

しかし、軟式野球出身者が53.9%もいることも事実だ。中学で軟式野球をやっているから、プロは無理だとあきらめることはないのだ。

注目したいのは、硬式、軟式の投手成績の中身だ。平均の登板試合数でも、勝利、セーブ、ホールド、投球回数でも軟式出身者のほうが上。防御率は硬式が4.31、軟式が3.96と軟式出身者のほうがかなり良い。
代表的な選手を見ても、軟式出身には西武の多和田、広島の大瀬良、巨人の菅野と両リーグの最多勝投手が並んでいる。硬式出身では今季からMLBに挑戦した西武の菊池、ソフトバンクの千賀などもいるが、やや見劣りする感は否めない。

今季の12球団の開幕投手12人のうち、阪神のメッセンジャーを除く11人が軟式野球出身者だったことが話題を呼んだが、そうした傾向を裏打ちするデータではあるだろう。

中学時代に硬球で本格的な野球をすることは、肩、肘の故障のリスクが高まるとされる。また、中学時代の投球過多が、高校、大学、プロでのパフォーマンスの低下に結びつく可能性も指摘されている。

この数字だけでは断定できないが、「軟式野球出身者のほうが将来の伸びしろが大きい」可能性はあるといえるだろう。

中学で「肩肘を温存する」ことの意味


経歴を見ていると、中学時代に軟式野球をしていた投手の中には、当時は投手ではなく野手だった選手も散見される。

日本ハムの高梨裕稔、楽天の青山浩二、広島の今村猛、ヤクルトの石山泰稚などがそうした選手たちだ。
また広島の大瀬良大地は、小学校時代に右ひじを痛めたため中学時代は左腕投手だった。

いろいろな事情で「中学時代に肩肘を温存することができた投手」が、のちに花開くケースが結構あるのだ。
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