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生まれ月が早い子どもが得られる「有能感」と陥りやすいその後の「挫折感」

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早生まれなのに投手ができてしまうセンスがある子どもは故障に注意!


――投手の場合だと早くから投げ過ぎて故障というケースもありそうですね。
「障害と生まれ月の関係を見ると4~6月生まれの子どもに特に障害が多いわけではないんです。1~3月生まれの投手に障害が多い。早生まれなのに投手ができてしまうセンスがある、だけど体はできていない。だから故障に繋がりやすいのかもしれません」

――早生まれでセンスがある、という子が一番故障が怖いんですね。
「両親の競技レベルがその子に与える影響は非常に大きいです。両親ともに国際大会、全国大会出場レベルだと、その子どもが国際大会、全国大会出場レベルになる出現率は、県レベルの大会にも出場していない一般的な両親の子どもと比べて10倍以上というデータがあります。遺伝的要因、環境的要因両方あると思いますが、早生まれでもそういう子どもは競技レベルも高くなりやすい傾向にありますね」

――早熟傾向の子どもの話に戻りますが、そういう子どもに対してもやはりどう声をかけるかということが重要になりそうですね。
「そうですね。まずは小さい頃になぜ他の子よりも上手いのかをきちんと伝えてあげた方がいいと思います。技術があるのかもしれないけど、大半は成長が早いケースなので、『今上手なのは体が大きいからだよ』と伝えてあげてほしいですね。今後のためにも。
同じ学年の中でテングになるくらいなら、上の学年と一緒にやる方がいいのかもしれません。ただ長期的な影響という意味では、小さい頃に良い思いをしているとそれがずっと残ることが多いです。高校野球の監督で、かつ体育の教員という指導者は4~6月生まれが多いんです。
あとは大学野球のデータを見ても分かりやすいです。全国でトップの選手が集まってくる東京六大学の選手は4~6月生まれが4割を占めていて、早生まれは1割程度しかいない。子どもの頃に得たリードを保って大学まで来ているのだと思います。大学野球全体で見ても後期生まれの子は少ないです。有能感が低いため、高いレベルで野球をやることを選択しない、野球からドロップアウトしてしまう子が多いのかもしれません」

――高校、大学では体格による差はなくなるのに、その前に辞めてしまうのはもったいないことですね。
「小学校から社会人までの日本代表選手の前期生まれの割合を見ると、小中学校は8割以上、高校で7割、大学と社会人では6割です。代表ではない一般の選手の前期生まれの割合は小中学生で50~55%、高校、大学、社会人で60%程度です。本来であれば大学、社会人の日本代表選手も一般の選手も50%になるはずです。10%の選手が野球から離脱し、日本代表になれた可能性を奪われていると考えることもできます。その背景には大人が決めた選抜方法、大人から子どもへの声がけの影響も大きいです。このデータを知ったからには、まずは選手の生まれ月を把握してもらいたいです。そして選抜方法やチームの分け方について、皆で考える機会があれば、子どもたちの将来にも繋がると思います」

非常に分かりやすいデータとお話でした。子どものことを長期的に考えられるチーム、指導者が増えることを願いたいですね。お忙しいところありがとうございました。(取材:西尾典文)
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